光かがやく天使のしずく We Wish…… 5 12月24日 金曜日 風景2 思わぬ所で、思わぬ人間に会うものだ。まあもっとも、あの二人こそ、今この日この雰囲気に一番似合っているんだから、ケチなんぞつけるのは狭量の極み……なんだが。 「うらやましそうだな、トミーよ」 「あ? ああ、そりゃ当然だろ? あそこまでいちゃつ... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく We Wish…… 4 12月24日 金曜日 風景1 クリスマスソングが流れる街を、僕は、空っぽの頭で歩いていた。 何かショッキングな出来事があったとか、そんなのじゃない。僕自らが、僕の頭を空っぽにしているんだ。 何も考えたくない。考えちゃいけない。何も考えないで、ただ日々をデクのように過ごし... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく We Wish…… 3 12月18日 土曜日 凍てつく海に墨を流し込んだような闇の中を、最終電車は行く。 この時期の車内は若干混んでいる。本来はもっと混んでいてしかるべきかも知れない。乗れた人間は、幸運な部類にはいるのだ。 客は皆、一様に疲れた顔をしている。だがしかし、今現在自分たちが... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく We Wish…… 2 12月5日 日曜日 風景2 「ねえ、マー君。コート、臭くない?」 ひるがえるトレンチコートのすそが風を切り、巻き上がったそれが、少女の鼻にかすかな異臭を運ぶ。 「……そうですか? どれ……確かに、臭いますね。ごめんなさい、しーちゃん」 その指摘に、コートを羽織っていた... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく We Wish…… 1 12月5日 日曜日 「おわぁぁぁーーーーっ?!」 ごうごうとうなりを上げて、俺の頬に無慈悲なビンタをくれる風。その透明な剛腕は、俺の耳を見つけるや、そこからにゅるりと忍び込み、目玉だか三半規管だか脳味噌だかを、とにかくしっちゃかめっちゃかにかき回してくれる。 ... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 6 これからの時間 「ただいま」 「あ、お帰りなさーい」 ゆーきは、二人分の布団を敷き、その上にちょこん、と座って俺を待っていた。 パンパンに張りつめた風船から空気が抜けるように、俺の緊張感が抜けていく。そこへ聞こえる、ゆーきの声。 「遅かったね、潤一さん。な... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 5 すれ違った時間 駅まで歩く五分ほどの間、俺は自分が早足になっていることに気付いた。なぜだかはっきり分からないが、何かある、そんな思いがあった。 「おっす」 「………………あ、こんばんは、友部君。ごめんね、こんな遅くに……」 改札から少し離れた薄闇の中に、彼... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 4 濁った時間 「はあ……」 ゆーきの奴にプレゼントを買うのに、思いがけない道を通ることになったもんだ。この複雑な気分を紛らわせるには……そうだ、あそこへ行こう。 俺の足は、いつもの喫茶店へと向かっていた。 「いらっしゃい……やあ、友部君じゃないか。久しぶ... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 3 過ぎていった時間 「さぁて……」 電車に揺られることしばらく、俺がやってきたのは、駅前のデパート。時々、ゆーきとも一緒に来るところだ。土曜日の昼時というのは、いつも異様な熱気がある。まあ、俺だって、子供の頃は楽しみだったけどな。珍しいいろんな商品と、何より、... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく
光かがやく天使のしずく Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 2 過ごしてきた時間 「……ぅ……」 紙の挟めるぐらいに細く、まぶたが持ちあがる。さしてかわりばえのしない天井と、蛍光灯が、ぼんやりと見える。別に、毎日の変化を部屋の内装に求めたりはしないが。 「…………」 頭が重い。起きなければ、と言う意識が、なかなか全身に伝... 2019.05.09 光かがやく天使のしずく