不二川 巴人

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光かがやく天使のしずく

We Wish…… 8 12月25日 土曜日

「………………」僕は、いまだに現実感のつかめないまま、ホテルを出た。本当に、『今』は昨日の続きなのか? 僕は、不安の拭えない視界で、黄色い太陽を見上げていた。「はあー……さっすがボーヤ。今回も堪能させて貰ったわぁ」僕の隣から、トレンチコート...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 7 12月24日 金曜日 風景4

「あれ? ……やっぱそうだよなあ……?」「えっ? どしたの、潤一さん?」ちょっと張り込んだイタリアンをたらふく食べて……どっちが多く喰ったかは、想像に任せる……次の目的地に向かう道。いきなり足を止めて首をひねる俺に、ゆーきはさらに首を傾げる...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 6 12月24日 金曜日 風景3

その芝居は、仮面越しに放つ俺の視線をとらえて片時も離さなかった。つまらない芝居なら、たいてい途中に時計を見る。それはない。そこそこの芝居なら、ストーリーを頭で追いつつ、役者の演技についてちょっぴり俯瞰してみたりする。それもない。批評めいた言...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 5 12月24日 金曜日 風景2

思わぬ所で、思わぬ人間に会うものだ。まあもっとも、あの二人こそ、今この日この雰囲気に一番似合っているんだから、ケチなんぞつけるのは狭量の極み……なんだが。「うらやましそうだな、トミーよ」「あ? ああ、そりゃ当然だろ? あそこまでいちゃついて...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 4 12月24日 金曜日 風景1

クリスマスソングが流れる街を、僕は、空っぽの頭で歩いていた。何かショッキングな出来事があったとか、そんなのじゃない。僕自らが、僕の頭を空っぽにしているんだ。何も考えたくない。考えちゃいけない。何も考えないで、ただ日々をデクのように過ごしてい...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 3 12月18日 土曜日

凍てつく海に墨を流し込んだような闇の中を、最終電車は行く。この時期の車内は若干混んでいる。本来はもっと混んでいてしかるべきかも知れない。乗れた人間は、幸運な部類にはいるのだ。客は皆、一様に疲れた顔をしている。だがしかし、今現在自分たちが置か...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 2 12月5日 日曜日 風景2

「ねえ、マー君。コート、臭くない?」ひるがえるトレンチコートのすそが風を切り、巻き上がったそれが、少女の鼻にかすかな異臭を運ぶ。「……そうですか? どれ……確かに、臭いますね。ごめんなさい、しーちゃん」その指摘に、コートを羽織っていた長身の...
光かがやく天使のしずく

We Wish…… 1 12月5日 日曜日

「おわぁぁぁーーーーっ?!」ごうごうとうなりを上げて、俺の頬に無慈悲なビンタをくれる風。その透明な剛腕は、俺の耳を見つけるや、そこからにゅるりと忍び込み、目玉だか三半規管だか脳味噌だかを、とにかくしっちゃかめっちゃかにかき回してくれる。ごご...
光かがやく天使のしずく

Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 6 これからの時間

「ただいま」「あ、お帰りなさーい」ゆーきは、二人分の布団を敷き、その上にちょこん、と座って俺を待っていた。パンパンに張りつめた風船から空気が抜けるように、俺の緊張感が抜けていく。そこへ聞こえる、ゆーきの声。「遅かったね、潤一さん。なんかあっ...
光かがやく天使のしずく

Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 5 すれ違った時間

駅まで歩く五分ほどの間、俺は自分が早足になっていることに気付いた。なぜだかはっきり分からないが、何かある、そんな思いがあった。「おっす」「………………あ、こんばんは、友部君。ごめんね、こんな遅くに……」改札から少し離れた薄闇の中に、彼女は居...
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