Happy^2 Birthday My (S)We(e)t Angel! 6 これからの時間

光かがやく天使のしずく
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「ただいま」
「あ、お帰りなさーい」
ゆーきは、二人分の布団を敷き、その上にちょこん、と座って俺を待っていた。
パンパンに張りつめた風船から空気が抜けるように、俺の緊張感が抜けていく。そこへ聞こえる、ゆーきの声。
「遅かったね、潤一さん。なんかあったの?」
「……別に。ちょっと、な」
下手な言い訳はしたくない。うやむやにするのも、似たような物かも知れないが。
「ふーん。じゃあ、いいんだ。こんな夜遅くでしょ? なんか危ない目にあってたらどうしようかなって、ボク心配だったんだ」
「……それだけか?」
言ってから、俺は「しまった!」と思った。ゆーきが言うであろう、あらゆる答えのパターンを考え、それへの言い訳を考える俺は……次の瞬間、さらに自分を恥じることになった。
「うん」
俺の目を見つめ、『他に何があるの?』と言いたげな目で、あっさりと答えるゆーき。
穴があったら入りたい、とは、こういう時を言うんだろう。『うん』という二文字の言葉が、果てしない重みをもって、そして、どこまでも続く広さをもって、俺にのしかかり、包んだ。
「……そうか。ありがとな、ゆーき……」
俺は、ゆーきを抱き寄せ、優しく、何度も、その頭を撫でた。

それから、ざっとシャワーを浴び、俺は布団に潜り込んだ。
「おやすみ、ゆーき」
「うん……」
電気を消し、まぶたを閉じる。静寂と、闇。繰り広げられる、今日の記憶のミニ・シアター。ただし早送り限定……開演……ほどなく、終演。目の前は、相変わらずの、闇。冷房のせいではない、寒さが襲ってくる。目を閉じたまま、言う。
「……なあ、ゆーき……」
「……何? 潤一さん……」
「こっちに、来てくれないか……?」
「いいよ、ちょっと待ってね……」
布団のすきまからクーラーの冷気が一瞬入り込み、続いて、ふわり……と暖かな感触が続く。俺は、すがるように、その小さな身体に手を回していた。
……そして、驚いた。手に感じるこれは……素肌の感触? すべすべと手を動かし、自分のシャツ越しにも、詳しい肌触りを求めてみる。間違いない。
「なんで……」
「潤一さん、今日何か、悲しいこと、あったの?」
「えっ?」
「今日の潤一さん、朝からすっごく変だったよ。……なんか、ずっと泣いてるみたいだった。体の中から、『悲しいな』『辛いな』って声が聞こえるみたいだった……」
「…………」
「ボクは、潤一さんが泣いてる理由は分かんない。潤一さんが言いたくないんだったら、ボクも訊かない。でもさ、潤一さんが泣いてたら、やっぱりボクも悲しい。だからボク、潤一さんを慰めて上げたいと思うんだ」
「ゆーき……」
この喜びを言い表す言葉を、俺は持ち合わせていない。ただ、闇にまぎれて、はらはらと、俺は本当に泣いた。嬉しくて嬉しくて、ただ、泣いた。
「潤一さん……」
熱い吐息が近づいてくる。そして、俺の目尻を、ぬるり……と暖かいものが拭った。
「ボクが、たくさん気持ちよくしてあげる。潤一さんの涙、ボクが全部飲み込んじゃうんだ……」
唇が重なる。いつ触れても、甘く、柔らかな、その感触。舌が、俺の歯をなぞり、唇をめくり、全体を軽く噛み、顔中を這う。
首から下、シャツをめくった胸板。ちゅうちゅうと音を立てて吸われる乳首と、間断なく指でさすられるもう片方。
どこで憶えたんだ、なんて言うつもりはない。俺がいつもゆーきにしていることを、ゆーきが俺にしてくれているだけのことだ。ただ、いつもより、俺の気持ちが違う。余計なことは一切考えないで、ゆーきが与えてくれる快楽を、心の中の心から楽しもう……そう思っている。だから、いつもより大きく声を出してみたりもする。
「うっ……うあぁっ……あぁあっ……!」
「はぁっ……潤一さん、どう?」
「ああ……気持ち良い……ぞくぞくして、いいよ、ゆーき……」
抱き寄せて、感謝の気持ちを込めたもう一度のキス。硬くとがったお互いの乳首が、吸い付いた胸板の間で、こりこりと踊る。
「もっと……もっとしてくれ、ゆーき……」
「うん……まかせて……」
「あっ……!」
湿った声が、すぐそばで聞こえる。「はぁ……はぁ……」という荒い息とともに、ぺちゃくちゃと耳の中へ進入してくる舌。熱いだ液で濡れそぼったところへ、「ふうっ!」と吹きかけられる息。感覚の混乱は、じわじわとした快感になる。
「うふふぅ……」
含み笑いと共に、俺の股間に伸びる、ゆーきの細やかな手。トランクスの中に滑り込み、半分硬くなっている竿と袋を、一緒くたにして揉んでいく。もちろん、その間も他は休んでいない。あちこちに乳房を押しつけながら、脇腹、内もも、あらゆる所をなめ回している。
俺はずっと目を閉じ、肌に全ての意識を集中している。上下も、前後も、左右も関係ないような感覚の中で、全てを明け渡す。喜び、嬉しさ、快と、楽。正の感情が、体中を埋めていくのが分かった。

むちゅっ……

より熱い感覚が、股間から脳髄を駆け上がる。袋から、根元、半ばあたり、そして先端……。熱い空洞に迎えられたそれは、唇の締め付けと、ねっとりとした舌の動きを受け、俺の腰を浮き上がらせるほどの快感を俺に返す。
「はぁっ……あっ……え……?!」
突然、ゆーきの口の動きが止まり、肉棒が外気にさらされた。「はー……っ……」と息を吹きかけながら、くにくにぬるぬると全体を手でもてあそんでいる。再び口にくわえるときも、舌や唇の触れないように、吐息を全体に吐きかけるに留めている。……じれったい。早く、早くちゃんとくわえてくれ! もっと、もっと! 早く……!
その二言だけが全身を支配して、どうにかなりそうになったとき、ふと、鼻を突く匂いがした。これは……

ぢゅうぅっ……!

「あぁんっ!」
反射的にしゃぶりつくと同時に上がる、甘い声。
目を閉じていても分かる。ゆーきは今、俺にまたがって尻をこっちに向けている。首を起こせば、十分に興奮し、潤っているゆーきの物を口に感じる。俺は、頭の中に、その複雑な形の全てを描ける。どれぐらい興奮してるかも……
「んあっ……は……あひっ……ん!」
軽く唇で加えてみる、花びらの厚みで分かる。最高だ。
「むぐっ……んっ……うぅん……」
「くっ……ぅぉっ……!」
丸まり合って、性器のむさぼりあいが続く。テクニック云々なんて、全く気にしない。やりたいように、やる。
「はふっ……んっ……んぅっ……じっ……じゅん……んぁぁっ!」
無心で味わうゆーきの愛液は、しょっぱくもあり、甘ずっぱくもあり……ひときわうまい。飲めば飲むほど興奮する。
「ゆーき……。入れたい……入れて……お前に……」
白紙に近い頭の中から、たどたどしい言葉で、最後の願いを口にする。
「うん……ボクも……」
ゆーきはそれに応え、向き直り、上になったまま狙いを定め……
「あんっ……」
「うっ……!」
それが元あるべき場所であるかのように、ゆーきの中へ入っていく俺の物。
ゆーきのぽってりとした一番外のヒダが、俺の下腹部に当たり、俺の先端も、奥の壁と軽くぶつかる。全部、入った。
俺の中で爆発する喜び。思わず俺は、ゆーきの上半身を抱き寄せ、キスと頬ずりを繰り返した。
「はぁぁっ……潤一さんの、いつもよりおっきいみたい……すっごく……いっぱい……」
「ゆーき……しばらく……そのままで……ゆっくり……」
こすり上げられれば、すぐにでも達してしまいそうだ。だが、俺はじっくりゆーきを味わいたい。ずっと、ひとつでいたいと思った。
「うん………………」
うなずく空気がし、ゆーきは、ごくかすかに腰をスライドさせながら、俺に身体を預けてきた。
互いの息、互いの身体の脈動を感じながら、溶けあって、一つ。
激しい腰の動きは、今は要らない。ただ、入っているだけで、ゆっくり、じっくりと、ゆーきの中は俺に根元からからみつき、安心感にも似た快感を与えてくれる。
「はあぁ……んっ……んふぅぅ……あっ……あぁっ……!」
もぞもぞと身体をくねらせ、ねちゃねちゃと音を立てて、ゆーきも、たっぷりと快感を楽しんでいるようだった。くりくりと硬く勃起した肉芽を感じるつなぎ目。そこからは、はてしなく熱い物があふれ、俺の腰に幾筋もの流れを作る。
「はぁっ……はぁぁんっ……んっ……うんっ……! んっ……ふあぁあぁ……」
時折、呑み込むような声と共に、ゆーきの動きが止まり、中がきゅぅっ! と緊張を増す。どうやら、軽い絶頂を何度か迎えているようだ。……俺も、その締め付けにたまらなくなってくる。
「ゆ……ゆーき……いかせて……出させてくれ……も……もう……!」
無意識に跳ね上がる腰のまま、叫ぶ。
「ひあぁ……んっ! んっ! んううっ! いっ……いいよ……出して……いっぱいぃぃ……!」
突き上げにもだえ、しがみつきながら、俺の胸板から言葉を伝えるゆーき。

ちゅく! ちゅぷ! ぴちゅ! きちゅっ!

「お……おれ……来る……来る……あっ! あぐっ……うっ!」
「来てっ! いっぱいぃっ! ボクの中! んあぁっ! あっ……!」

どくっ!! びゅぐっ……ぴゅるっ……!

「熱ぅっ……! うっ……うあっ……あ……あふ……ぅん……」
「あ……あぁ……う……は……」
体と心の一番奥底から吹き出た奔流は、俺の中のよどみを全て乗せ、凄まじい熱さをもって、ゆーきの一番奥へ吹き付ける。
「んはっ……あ……すご……いっぱい……うふぅ……」
だが、ゆーきは、それを全て自分の中へ呑み込み、肉棒の中に残す最後の物まで、残さずしぼり取ってくれた。

空っぽの感覚。身体の中、気持ち、言葉……ほとんどの物を出しつくしたような、浮遊感。俺は、一つの言葉を繰り返していた。
「ありがとう、ゆーき……ほんとに……ほんとうに……」
「じゅんいちさん……」
いつの間にか、二人とも汗びっしょりになっている。ひんやりとした身体の感触と、まだ熱いつなぎ目の感触が、余韻をより強い物にしてくれる。
「このまま、眠れりゃなあ……」
「んふふっ……そうだね。でも、このままだと風邪ひいちゃうよ」
「おっと……それもそうだな」

それから、一緒にシャワーを浴び、俺は、ベタベタになった自分の布団の隣で、ゆーきと身を寄せ合って寝た。
寝就きは、果てしなく心地よかった。いつもの、ぐずる意識に網をかけ、眠りの海の中へ強引に引っ張っていくそれではない。まるで、石が重力に従って自然に落ちるように、ストン、と落ちて行くような寝入り。
そうだ。ちょうど、子供の時のような……

「…………あ」
次の朝。俺は、驚くほどに気持ちよく目覚めた。寝入ったのが、つい数秒前の事のように思える。それほど、深く眠ったというわけだ。頭や身体へ、ごくなめらかに活力がめぐる。体調は、嬉しくなるほど良好だ。

「あ、起きた起きた。おはよ! 潤一さん!」
「ああ、おはよう、ゆーき」
五感も、至極良い調子だ。朝の光の中で見るゆーきの顔も、いつもより綺麗に見える気がする。
「ごはん、もう少しで炊けるからね」
「ん? 今日は米か?」
「うん。潤一さん、きっとお腹たくさん空いてるんじゃないかと思って」
「ふふふっ……確かにそうだな。でも、お前の腹が空いてるってのが、正解じゃないのか?」
「あ、ばれちゃった。へへへ……」
「おあいこ、だな。はははっ!」
やがて、飯が炊けた。おかずは、生卵と、味付け海苔、そして薄揚げのみそ汁だ。
「さあ、喰うぞ!」
「おーっ!」
別にかけ声をかける必要なんてないんだが、二人とも、それだけ腹が減っていたって事だ。……考えてみれば、朝からここまで食欲があるのも久しぶりだ。実際、ものすごい勢いで飯をかきこむ俺達だった。

「ふー……ごっそさん! 喰ったなあ……」
「あー……おいしかったぁ……」
戦闘終了とばかりに、腹をさすりながら、どっと息を抜く二人。
後かたづけを手伝いながら、俺はゆーきに言った。
「片づけ終わったら、出かけるぞ」
その言葉に、洗い物の手が止まるゆーき。
「どこどこ? どこ行くの?」
「駅前のデパートだ。この間お前、ジーパンがちょっときついって言ってただろ? 新しいの、買いに行こうぜ」
「わーい! お買い物、お買い物ー!」
「洗い物の途中に喜ぶのは良いが……茶碗、気を付けろよ」
「わたたっ! ゴメンゴメン……」

そんなこんなで、駅前のデパートへやって来た俺達。もちろん、目的はジーパンだけじゃない。カジュアル売場で、目的の店員を捜す。
「(藤田……藤田明子……ああ、いたいた)」
「ゆーき、お前、ちょっとここで待ってろ。店員さんに、ちゃんと体のサイズを測ってもらうから」
「はーい!」

「あの、友部ですけど……」
「あっ、いらっしゃいませ。岩城さんから聞いてます。あの娘ですね?」
「ええ。よろしくお願いします」

そうして、彼女……藤田さんの協力で、ゆーきのスリーサイズが分かった。幸い、ゆーきの奴は、ジーパンを買うという名目なのに、身長とバスト、足のサイズまで測っているという所には、疑問を挟まなかった。素直なのは、いいことだ。
え? 巻き尺で身長が測れるのかって? 大丈夫。今回はっきり分かったが、ゆーきは、一五〇センチ以下だ。まあ、多少の誤差はあるかも知れないが。

教えられたウェストとヒップから、お目当てのジーパンを何本か持って、うきうきと試着室に入るゆーき。待っている間に、隣の藤田さんが話しかけてきた。
「……なんだか、こっちが嬉しくなってくるぐらいに、可愛い娘ですね」
「あ……ありがとうございます……」
「岩城さんから、どんな印象の娘かも見ておくように頼まれてるんです。とても印象強くて、はっきり伝えられますよ。彼女も、きっといい仕事が出来ると思います」
「……いや、何と答えて良いのやら……まあ、よろしくお願いします」
「うふふっ……はい。かしこまりました」

「潤一さぁん……これ、どうかなぁ?」
やがて、ゆーきが試着室の中から、ひょい、と顔を出した。
出てきた姿は……今までとあまり変わらない、と言ってしまえばそうかもしれない。だが、本人が言うように……お尻のあたりが、ちょっとふっくらしてきたかな。いずれにせよ、女らしくなってるのは確かだ。
「ああ。似合ってるぜ。それにするか?」
「うんっ!」

品物をレジへ持っていくとき、俺は、藤田さんに目配せした。
彼女は、本当に楽しそうに微笑んで、「ありがとうございました」とだけ言った。

その他の売場―もちろん、婦人服売場は避けたぞ―を適当に回り、気がついたときにはそろそろ昼時だ。
「よし。ちょっと早いが、昼飯にするか。上の食堂に行こうぜ」
「やったぁ! お子さまランチ! お子さまランチ!」
「……恥ずかしいから、連呼するのはやめるように……」
こういうところは、変わってないな。やれやれ……。
とか何とか言いながら、結局は俺も、ゆーきにつき合って、一緒にお子さまランチを食ったりしたわけだが……。



 そして、いつも通りの一週間が過ぎ、あっという間に、次の週末……。

(ピンポーン ピンポーン)

「はーい!」
朝。二回鳴るベルと、答えるゆーきの声。俺はいつもこのぐらいの時間に起きるんだが、今日は違う。既に着替えた姿で、俺はそのベルを待っていたのだ。
「ごくろうさまでーす」
届いた荷物を抱えたゆーき。不思議そうな顔をしている。
「潤一さん、なんか、荷物が来たよ?」
「……宛名は誰になってる?」
「ん? えーと……『友部様方 神原 有紀様』……ボクあて? 差出人は……えっ? えぇっ?! 『友部 潤一』……潤一さん?! どういうこと??」
「……開けていいぞ」
「えっ? ……うん……」
包装紙を破き、箱を開けるゆーき。
「あ……あぁっ……! これ……」
箱の中身と俺を、交互に見つめるまん丸な目。
「着てみろ。あっち向いててやるから」
「うん……!」

着替えている間、俺は、箱の中に封筒が入っているのに気付いた。
『友部君へ』と、ボールペン書きされている、茶封筒だ。裏を見ると、『岩城 真由美』とある。封を開けると、そこには、先週渡した写真と、手紙。
手紙には、こう書かれていた。

『前略 友部君へ
写真、どうも有り難う。お返しします。送った品物は、気に入って頂けたでしょうか?
代金等については、ひとまず私が立て替えました。後日請求させて貰いますので、覚悟しておいて下さい。
それでは……。
草々

追伸:もう少し落ち着いたら、また電話します。昔みたいに、バカ話しましょう。もちろん、下ネタ込みでね!』

「待ってるぜ、岩城……」

「潤一さん……」
ちょうど、ゆーきの呼ぶ声がした。
「ああ」
「どっ……どう……かな?」
ゆーきの好きな、薄い緑を基調にした、洋服の上下セット。もちろん、下はスカートだ。ちょっとすました感じのデザインが、元気いっぱいのコイツに、不思議とよく似合う。
「ボッ……ボク……これ、すごく気に入っちゃった……。に……似合う?」
慣れない服を着た照れくささか、着てみたかった服を着た嬉しさからか、ゆーきは、顔を耳まで真っ赤にして、モジモジとしている。

「潤一さん……どうして、これ、ボクに……?」
俺は、おもむろに立ち上がって、真っ直ぐに目を見つめて言う。
「なあ、ゆーき。お前、自分がいくつか知ってるか?」
「え? えーっと確か……十七……ってことになってたよね?」
「そうか? 俺達が出会ったのは、いつのことだ?」
「んー……潤一さんと初めて出会った日…………あ……!」
「な? ……正直、俺も忘れてた。遅くなっちまって、本当にすまなかった」
「…………ふえぇ……ひっ……ひっく…………」
「十八歳……いや、正確には、一歳だな。誕生日おめでとう。ゆーき」
瞳に涙を溜めていたゆーきが、俺の胸に飛び込んでくる。
「うわぁぁーーーんっ!! ありがとう! ありがとう! じゅんいちさぁーーんっ!」
「よく似合ってる。とびっきり可愛いぜ、ゆーき」
「うん……うん……! ありがと……潤一さん……好き……大好き…………!」
「……俺もだ。愛してるよ、ゆーき」
「んぅっ……」
くしゃくしゃの泣き顔に、俺は、そっと唇を重ねた。

「さあ、今日はそれを着て、どこへ行く? お姫様?」
「えーっと、えーっとね……」
泣き笑いで一生懸命考えるゆーきが、その日はいっそう、まぶしかった。

……Happy Happy Birthday My Sweet…& Wet Angel!

おしまい
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