SF(少し・不条理) がちゃっ 5 教祖と逮捕と公開処刑 がちゃっ扉を開けて部屋へ入った僕を、たくさんの黄色い悲鳴が迎えた。「あぁあっ! 生マラ様ァッ!!」「生マラ様よォォォッ!」そこにいるのは、たくさんの裸の女性達。もちろん、若い上に容姿端麗だ。すがりつこうとするところを手で鷹揚に制しながら、僕... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) がちゃっ 4 据え膳食わぬは……? がちゃっ……僕は、その部屋のドアを開けた。薄暗く照明を落とした部屋に、彼女は、いた。「…………」ベッドの上に、並んで座る。シーツとは違う白さをもった細い指が、ぼんわりと浮かび上がる。「あっ……」重ねた手に上がる、小さな声。少し冷たい。僕は言... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) がちゃっ 3 奇妙な依頼 「……そんな、急に言われても……」「でしょうね。けど、唐突は承知の上よ」「うー…………ん…………」僕は、その『お願い』を聞いて、困惑という文字が目に見えるぐらいに顔をしかめた。この世界では、さっき聞いた通り、男は、一定の範囲内でペニスをテレ... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) がちゃっ 2 パラレルワールドへいらっしゃい! 「ちっくしょう……せっかくおいしい思いができると思ったのになあ……」結局、さっきまでの生唾は、苦虫のエサにしかならなかった。僕は親の仇のようにその虫どもをかみ砕きながら、会社までの道を歩いていた。やれやれ、今日も無遅刻無欠勤記録更新だ……そ... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) がちゃっ 1 『あのドア』の先は? 僕は、そのドアの前で冷や汗を浮かべていた。濃いピンクに塗られて、格子のへこみが装飾としてある、洋風のドアだ。「ごくっ……」生唾を飲み込む。後ろ髪からしたたった汗が、ワイシャツの襟にこぼれる。僕はなかなか動けない。ただでさえない時間が、いたず... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 6 何処とも知れぬ風景 「あらボーヤ、さっきも会ったわよね。どう? アタシの体、しっかり見てくれた?」つややかな、たっぷりの黒髪、頭身の高い背丈。それを包む、薄紫のコート。襟から上、顔の、突き抜けそうなほど透き通る白い肌。黒目がちの大きな瞳。流れるような、垂れ気味... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 5 あの女性がいる風景 「やあやあ、どうも、ご無沙汰しております! お世話になります!」「こちらこそ、どうも…」サラリーマンの挨拶、「あら奥さん、お買い物?」「ええ、ちょっと変わった物が欲しくなって、そこのお店まで。輸入物の変わった食材、ございますでしょ?」主婦の... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 4 トレンチコートだけの風景 (がくん!)「おわっ!?」僕は、階段を踏み外したような感覚で我に返った。びくり、と体が震え、音を立ててテーブルの上の物が揺れる。危ない、危ない…。慌てて体制を整え、辺りを見渡した。…そこは、さっきまでと同じ喫茶店。どうやら、くつろぎすぎてう... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 2 奇妙な女性のいる風景 そんな、僕の回りだけゆっくり時間が流れているような錯覚の中、僕は再び、視線を自分の周囲まで引っ張り戻してきた。ちょっと首の辺りがこったみたいだな。そう思った僕は、少し勢いをつけてブン、ブン、と頭を左右に振った。(ごき くき…)そんな音と共に... 2019.05.09 SF(少し・不条理)