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柔らかな殺意 9

9.襲撃 「!!」 散らしていた意識を瞬時にかき集め、立てかけていた『常世渡り』を握る。 『扉の外だ。私たちがここにいるのは解っているようだが……そのまま動かん。妙だな……。どうする? 先手を打つか?』 束を伝わって、緊迫した声が頭...
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柔らかな殺意 8

8.約束  ……静は目を開けた。 打ちっ放しのコンクリート、チリチリと瞬く蛍光灯。パイプベッド、緩められた服……。そんなことは全く意に介さない。顔を巡らせる。―傍らに『彼』が座っている。さっき聞いた、『彼』の去り際の言葉が、頭にこだます...
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柔らかな殺意 7

7.夢  静をしっかりと抱きしめ、暖かさを確かめる。やげて、大きく視界が歪み、真っ白になっていく。……次の瞬間、二人は、下水道の中、自分たちが出てきた43番出口近くの通路に居た。 「助かりましたよ……。長年あなたを使ってます...
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柔らかな殺意 6

6.翁 『黒澤様』 屋敷内の奥まった一室。闇色の光の中、淡々とした声が響く。 「……なんだ?」 その声に、先ほどまで眠っていた老人が、ゆったりと目を覚ます。 『お客様が、お見えです』 先ほどと同じく、合成されたような声が返ってく...
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柔らかな殺意 5

5.潜入 「寒いね……」 「えぇ……」 コツコツと言う足音が、眼下の闇に吸い込まれていく。 空調でも効いているのだろうか、足下から冷たい風が吹き抜ける。 そして、何段ぐらい降りたのだろう。横幅が狭いことと、段差がきついこと、さらに...
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柔らかな殺意 4

4.遭遇 “コツ……コツ……コツ……” 1メートルほど下の段差には、真っ黒な排水が流れている。ごぅっ……と言う音とともに、強烈な臭いがたち込める。優人は、コートの裾や、袖口を少し気にしながら、足下をペンライトで照らしつつ、そ...
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柔らかな殺意 3

3.回想  店のさらに地下。階段を下りきったところに、両側に鉄のドアが並ぶ通路がある。そのうちの一室の前で立ち止まり、持っている鍵でドアを開ける。 手探りで入れるスイッチ。素っ気ない蛍光灯が照らす室内。内装は皆無に等しい。打ちっ放しのコ...
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柔らかな殺意 2

2.『仕事』  優人の勤めるオフィスから、5分ほどしか離れていない飲食街。昼は食事を摂りに来るサラリーマンでごった返し、夜は夜でまた賑わう。 そんな一角の地下に、その喫茶店はあった。 『Cafe U.U.』 階段のそばには、西洋風の...
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柔らかな殺意 1

1.合図  キーーン・・コーーン……カー……ン……コー……ン……・ 昼休みを告げる呑気なチャイムの音が、オフィスに響きわたる。 駅からほど近い、昔からのビジネス街。周囲には、小汚い雑居ビル然とした所があると思えば、最近でき...
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柔らかな殺意 0

0.原風景  あたしがこの世で最初に見た物は、青い空。 まるで、地面から空へ落ちて行くんじゃないかと思うような、そんな空。 暑かったか、寒かったか。解らない。そんな感覚を憶える前だったから。 そして、次の記憶。私をのぞき込む、4つの...
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