おもらしすれば、愛しの彼が振り向いてくれると思った私が、自分で利尿剤を飲んだ結果!

お題でGO!
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私には、好きな人がいる。

葛城雄生かつらぎゆうせい君。同じクラスの男子だ。

好きなら告ればいいって思うでしょ? そうは簡単にいかないのよ。

なにせ、私……ああ、鈴原奈々すずはらななって言うんだけど、私は、クラスじゃカタブツで通っている。キッカケは既に忘れたんだけど、「そういうキャラ」を作ってしまって、気が付けばもう、卒業も間近な、高校三年生になってしまった。

ずーっと、ずーーっと、ひたすらにずーっと、私は、葛城君を見つめ続けていたんだけど、そういう話に縁がないと思われてるんだろうな、彼が振り向いてくれることなんか、なかった。

そりゃあまあ、具体的な行動を、いつまでも起こさない私も悪いんだけど、その辺の「効果的手段」っていうのが、まるっきり分からないのよね。

まして、カタブツキャラなんだから、下手にアクションを起こせば、たちまちクラスの変な、と言うか、悪い噂になってしまう。

でも、私だって、恋の一つぐらいしてもいいでしょ!? 別に、多くは求めないのよ! 葛城君に振り向いてもらいさえすれば、後は流れでどうとでもなる! はず!

そんな風に、意気込みだけは高いんだけど、「じゃあ、どうすれば?」っていうのが、やっぱり分からない。

葛城君は、すごくモテる。私に言わせれば、モブ女ども風情が、隙あらば彼の隣をゲットすべく、日々火花を散らせているわけよ。

どきなさい、モブども! 彼の隣には、私がいてしかるべきなのよ!

ただ、言葉には出せるはずもない。出したが最後、恐らくみんな、珍獣でも見るような目を向けてくるだろうから。

三月に入り、卒業まで、カウントダウンが始まった。私の焦りは日々募っていくばかりだった。なんとか、なんとかしなきゃ!

焦りはすれども、具体案が一切出ない中、ある、決定的なシーンを目撃した。

私が、休憩時間に、おトイレに立って、用を済ませた時だった。

同じクラスの、とある陰キャ女子が、廊下を走るなという校則を無視して、いかにも慌てた様子で、おトイレに駆け込もうとしていた。

「きゃうっ!?」

その陰キャ女子は、とろくさいのか、おトイレまであと一歩! というところで、足をもつれさせ、派手に転んだ。

「や、あ、ああああああっ!?」

そして聞こえる、絶望の悲鳴。うつ伏せに倒れたから、はっきりとは分からなかったものの、転んだ弾みで、おしっこを漏らした様子だった。

別に私は、この陰キャ女子が、年齢不相応な失態をしでかして、残り少ない学校生活への影響がどうとかは、一切関知しない。

とは言え、多少なりとも、可愛そうだとは思う。なにせ、誰にだって、多かれ少なかれ、プライドってものがあるだろうし。

しかも、小さな子どもにしか許されない、おもらしなんかした日には、仮に私だったら、末代までの汚点レベルだと思う。

でも、重要なのは、そこじゃなかった。陰キャ女子が絶望の淵に沈んでいる中、男子用のおトイレから、葛城君が出てきた。

「だっ、大丈夫? 茨木いばらきさん!?」

陰キャ女子の名前が、茨木であることなんか、ものすごくどうでもいい。葛城君は、まだ倒れている彼女へ、そりゃあもう、男前極まりない声で呼びかけた。

「ぐすん……葛城君……? ああ……見ないでぇ……」

茨木さんの、情けない泣きべそ声での訴えは、一定の理解ができる。なにせ、クラス中の女子が憧れる、「あの」葛城君に、とんでもない失態を見られたわけだから。でも、私が驚いたのは、ここからだった。

「茨木さん、立てるかい? ダメだったら、僕に捕まって? 負ぶった方がいいかな?」
「う、うう、うん……」

なんてことなの!? 葛城君は、自分がおしっこで汚れることなんか、まるで気にしないといった風に、茨木さんを、その背に負った。

「保健室、行こう」
「あ、ありがとう……」

去って行く二人を見て、端的に言って、私は、メチャクチャに嫉妬した。

私の葛城君を! あいつは! 独り占めした!! おのれ!! 今すぐ代われ!!

……と、そんな事など言えるはずもなく、私は、遠ざかっていく葛城君の背中を見送るしかなかった。

しかし、やっと思いついた。このシチュエーションを、応用すればいいのよ!

確かに、私のクラス内でのキャラクターを考えれば、おもらしをすることなんか、断じて許されない、驚天動地の失敗と言ってもいい。

でも! 超法規的措置よ、これは! もはや、葛城君とお近づきになるためには! 四の五の言ってられないのよ!!

よーし、即行動! と言いたいけど、計画には、まだ詰めていないところがある。

つまり、私の尿意は、飲み物をたくさん飲むなりして、いくらでも誘発はできる。

しかし、葛城君が、私と同じタイミングで、おトイレに立つはずがない。

考えた。利尿剤入りのお茶を用意することはできる。問題は、それをいかに彼に飲ませるべきか? だ。

プランが決まっていない中、次の日、とりあえず、利尿剤入りのお茶を入れた水筒は、教室に持ってきた。

ここで私は、思わぬ運の良さを発揮することになる。

「あちゃ、参ったな。水筒、忘れてきちゃった……」

昼休み。葛城君が、お弁当派なのは知ってるけど、その日に限って、お茶を忘れてきたらしい。できるだけさりげない風を装って、いや、それだけでも、ぶっちゃけ、口から心臓が飛び出しそうだったんだけど、彼に話しかけた。

「お茶なら、私が分けて上げるわよ?」
「えっ、ホント? 助かるなあ、ありがとう」

こぉの、笑顔までイケメンが! 私の今の喜びを、あなたは知らないでしょう!?

「え、遠慮しないで? 好きなだけ、飲むといいわ」
「悪いね、ほんとにありがとう」

かくして、私と葛城君は、同じ、利尿剤入りのお茶を飲んだ! お互い、三十分ほどで効くはず! 望ましい流れに持って行くためには、彼の方が、先におトイレに立つ必要がある! 私は、その後に時間差で……!

「すみません、先生。お手洗いに行かせてください」

午後の授業中、狙い通り、葛城君が手を上げて、そそくさと教室を出て行った!

率直なところ、私自身も、かなりおしっこが溜まっていた。必要性があったらすぐに処理するタイプなだけに、「我慢」というのは、ほとんどやったことがない。

(う、うう、うううう……!)

さすが利尿剤と言うべきか、急激に切迫していた。ちょっとでも気を抜けば、この教室内で、惨劇が起きてもおかしくない。

(ぐ、ぐぬ、うむむうう……!!)

ヤバかった。変に我慢したせいで、椅子から立ち上がれないほどになっていた。股間をスカート越しに全力で押さえ、今にも決壊しそうなダムを、かろうじて堪えていた。

もはやそれは、コンマ何秒の戦いだった。もしかすると、戦略を間違えたのかもしれない……とは言え、もう、後戻りなんかできっこない。

我慢と、我慢と、我慢と、そして我慢。透視なんかできるはずもない、自分の膀胱が、限界いっぱいだ! と、金切り声を上げているのが分かった。

(ぐ、ぐむうっ! 根性ぉーーーーーっ!!!)

そろそろ、タイミング的にOKのはず! い、いい、いいい、今……こそぉ……! 時は、来たれ、りぃ……! 全身の気合いを総動員し、私は、震える手を挙げた。

「せ、先生? す、すす、すみませんが、おトイレへ……!」

許可が得られたのはいいものの、私は、すごい小股になっていた。後少しでも強い衝撃が加われば、即、漏れる自信があった。

(ひ、ひ、ひいぃ……!)

血の気を引かせつつ、計画の、見通しの甘さを呪った。この、尿意の切迫具合からして、到底、おトイレまで間に合わない! 詰んだ。私、詰んだ……!!

廊下に出て、遥か遠くに感じる、おトイレの入口。ぐにゃり。誇張抜きで、視界が歪んだ。

ダメ。無理。出る。出ちゃう。漏れちゃう。おしっこ。おしっこ。おしっこ。おしっこ。漏れちゃう。漏れちゃう。漏れちゃう。漏れちゃう。遠い。まだ。こんな所で。無駄になる。失態だけ。許されない。あ、膝、笑ってる。身体、力、入らない。間に合わない。ダメ。もう、歩、け、な、い……。

「――はうっ……」

――プッツン。

臨界突破、からの、メルトダウン。

結局、自分で自分の首を絞めただけだった。虚脱し、膝からくずおれた。

ものすごい勢いで噴き出す、生温かいおしっこ。それが、ショーツは言うに及ばず、スカートまでぐしょぐしょに濡らしていくのを感じる。

「……あは……あは、あははぁ……」

ここまで我慢したせいか、「解き放たれた」上でのおもらしは……もう、我が身の生理現象というか、排泄という原初的欲求をとことんまで満たせて、ちょっと類例が見あたらないほどに、気持ちよかった。

そう、ともすれば、絶頂にも似ていた。と言うか、実際、かなり深くイッていた。びくん、びくん、と、身体がわななく。全く初めての、未知で、途方もない快感だった。

「はっ、はあっ、はひっ! ひくっ! くは……あ、あへあ……あー……」

恍惚と、口からは、よだれさえ垂れていた。多分、端から見れば、バカみたいな呆け顔だったと思う。それぐらい、あらゆる面で快感。毎日のオナニー程度じゃ、到底たどり着けない、深い絶頂だった。

「ぜひっ、ひひゅっ、ふわ、あ、あああぁ……」

おしっこは、まだ出ている。電撃のような快感が、怒濤の如く私をもみくちゃにする。多分だけど、この数十秒で、少なくとも、五回はイッた。

甘ったるい絶頂の余韻は、フェードアウトしつつあってなお、どこまでも気持ちがよくて、きっと私のおまんこは今、おしっこ以外のもので大洪水だろうという実感もあった。

「はひゅ……ひにぇ……あふ、ぅあ……」

最後まで、出し尽くした。許されざる、でも、正常な思考ができないほどの、倒錯的快感。

その扉を開いてしまった罪悪感はあれども、悔しいかな、この悪魔的な甘美さの前では、全てが……どうでも……いい、わ、ね……。

「……はへぇ……」

そうして私は、おしっこの海に倒れ伏し、意識を失った。

「……ん、んぅ……?」

次に気が付くと、そこはどうやら、保健室のようだった。

「気が付いた? 鈴原さん」
「はえっ!? かかか、葛城君!?」

葛城君が、私の顔を覗き込んでいるのに気付き、盛大にキョドった。

状況的に、彼が私をここへ運んできたのは分かるけど……?

「あっ、あの、その、これは、ちが、あれ? その、とにかくちがぁ……」
「不器用だなあ、鈴原さんも」
「……はい?」

葛城君の、優しい声……はいいとして、言葉の意味が分からない。

「ふふっ、僕もさ? 鈴原さんの熱い視線に気付かないほど、鈍感じゃないよ。だから、茨木さんにも、協力してもらってさ、一芝居打たせてもらったんだよ」
「な、な、な、なあっ!? じゃ、じゃあっ!?」

茨木さんとのアレが、芝居!? ってことは……!?

それから、葛城君の口から、真相を聞いた。

私が彼に、前々から熱視線を送っていたのは、本人に、とっくにバレていたこと。

同時に彼は、私の、クラス内でのキャラクターを踏まえた上で、軽率な行動には出ないだろう事にも、予想を付けていた。

だからこそ、茨木さんの協力を得て、「それっぽい」シチュエーションを見せた。そう、私が真似することを見越して。

もちろんと言うべきか、今日、お茶を忘れたのも、なんなら、一服盛られていたことも、計算の上だったらしい。

……何? じゃあ、結局、私は……彼の手のひらの上で、踊ってただけ!?

「おっと、誤解しないでね? 僕も、何とも思ってない相手に、そんな、周到な行動は取らないよ?」
「う、うう、それって?」
「つまり、さ――」

……その日。私の想いは、届いた。

まあ、振り返るまでもなく、私は下手くそなピエロだったんだけど。

意中の彼が、私を想ってくれていた。

それだけで、ご飯が無限におかわりできるぐらいだ。

もし、その後の未来で、困ったことがあったなら。

おしっこを限界まで我慢することで、なんか、私の中でも、やっぱり、変なスイッチが入ったらしくてさ?

彼との関係は、おもらしありきになっちゃった事かしら?

でもいいの。彼は全てを受け止めてくれるし、私も、なんか背徳的な快感に、ヤミツキになっちゃったから。

私の、おもらしプレイは、どんどんディープになって行ったんだけど……彼が、無限とも言っていいほどに、甘えさせてくれるから、それはそれでよし、ね。

イケナイ方向に進んじゃったけど、幸せだから、いいのよ!

さあ、今日も、頑張って膀胱をいじめましょ♪

――おしまい

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