彼女のスイッチを入れてしまった俺

お題でGO!
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同棲している恋人が、高熱を出してしまった。

「なんか、頭がふわふわする……」
ある朝。いつもの時間にあいつが起きてこなかったので、どうしたんだと思って、俺が彼女の寝室に行くと、明らかに顔色が悪かった。
「熱か?」
「多分……」

何はなくとも救急箱から体温計を出し、彼女に渡し……た時点で、既にその手が熱く、俺は「まずいな」と思った。

数分後、小さな電子音とともに、計測が終わった。38.5℃だった。悪気はないが、ちょっと引くぐらいの高熱だ。

なら、俺がやるべきことは決まっている。当然、こいつの看病だ。
しかし、まずは『なぜ熱を出したか?』を知る必要がある。ご時世的に、あのウィルスだったら大変なことになる。とりあえず俺は言った。
「起きて、歩けるか? まずは医者だ」
「な、なんとか……かな?」
「食欲はどうだ?」
「それは、あんまり……」
勘でしかないが、病状は割と深刻なようだ。彼女の着替え終わりを待ち、俺も、急いで身支度をして、朝一番で医者に向かった。

のはいいんだが、どうやら彼女の衰弱ぶりは、思っていた以上にひどいらしく、俺が肩を貸してやらないと、まともに歩くことさえできないようだった。

そして、医者。高熱を出していることを受付で告げ、即座に、医者の駐車場内にある、臨時のプレハブで設置されている、発熱外来での診察となった。

しかし、これを幸運と言わずして何をそう言うか? って話だが、例のウィルスに感染したわけじゃない、という結果が出た。ただの風邪らしい。とりあえずはホッとした。

その後、医者での会計を済ませ、調剤薬局で薬をもらい、帰宅しようとしたんだが、
「うー……ごめん、歩くの、疲れた……」
彼女が力なくそう言ったもんだから、俺は少し困ってしまった。タクシーで移動するような距離でもないし、路線バスも通ってない。なら、残された手段は一つだ。
「おぶされ」
「うー」
俺がしゃがんで背中を差し出すと、彼女がのろのろとしがみついた。そのまま、彼女を背負って歩き出す。

「んー、喉が渇いたよぉ……」
不意に、背中の彼女がそう言った。風邪の時は、水分補給が大事なのは、俺も知ってる。しかし、今すぐとなると……? あたりを見渡すと、まるで用意されていたかのように、ジュースの自販機があった。すぐに500mlのペットボトル入りスポーツドリンクを買って、
「ほらよ」
「うー、ありがと……」
彼女に渡すと、よっぽど喉が渇いていたのか、ほぼ一気に飲み干してしまった。ゆっくり飲めよ、と言う前にだ。

「ほふぅ……」
喉の渇きが癒されたおかげで安心したのか、背中の彼女は、俺の肩越しに、安堵のため息を付いた。

ささやかな惨劇は、家まで後数分というところで起きてしまった。
ぶるり、と、背中の彼女が震えたかと思うと、
「お、おトイレ……! はうう、ちょ、ヤバいってば、あ、う、う~~~っ!」
「お、おいっ!?」
察するに、かなり尿意が切迫しているらしい。運の悪いことに、すぐに行ける場所にコンビニがない。俺は、急ぐために走り出したんだが、かえってそれが裏目に出てしまった。
「ちょっ! ちょちょちょっ!! や、やだあっ!! 揺らさないでっ! そんなっ! したらっ! ダメっ!! ダメダメダメダメダメぇっ!! あ、ひぅっ……!?」
ぴきっと、彼女が一瞬硬直した。次の瞬間。俺の背中に、熱い奔流が感じられた。ぶる、ぶる……と震える彼女。
「はうっ、あ、あああっ……出ちゃった……出る……いっぱい出ちゃうぅ……バカ、バカバカバカぁ……ぐずっ、うあーん、あーん、ふえあーーーんっ……」

それは、マンションの前だった。二階の俺たちの部屋まで戻るのに、後三分もあればよかった。が、遅かった。

泣きながらの彼女が吹き出す熱い雫は、なおも俺の背中を濡らし続け、ズボンにまで伝って染みていく。『彼女が失禁した』という事実が理解できるまで、かなりかかってしまった。

「うえーん、えーん、えーーーんっ! 恥ずかしいよぅ、情けないよぅ……この歳で、おもらしなんてぇ……」

ぐずる声で、自分を責める言葉。いやまあ、確かにお互い二十二歳だし、みっともないと言えば、確かにそうだ。

しかし、なんだろう? 俺にその手の趣味はないはずなんだが、今の彼女が、いつも以上に愛おしく思える気がした。

普段のこいつは、すごくしっかり者で、自分を律することに関しては、俺なんかより遥かに上だ。正直、俺が少しだらしないもんだから、どっちかと言うといつも尻に敷かれ気味なんだが……
「……梨沙」
俺は、背中の彼女の泣き顔を見ながら言った。
「ぐずっ、なに? 智也?」
幼子そのままのような、梨沙のぐじゃぐじゃの顔だった。なんか、心に刺さるものがある。諭すように言ってやる。
「泣きたい気持ちは分からんでもないが、あんまり自分を責めるな。不可抗力に文句は言えないだろ?」
「だ、だって、あたし、智也にすごい迷惑を……」
「ばーか。これぐらい、迷惑のうちに入るかよ。むしろ、なんか可愛いぜ? 今のお前」
「……ありがと……」
梨沙はそれだけ言うと、くたり、と俺に体を預けてきた。やっぱ、可愛いな。いつにもまして。

そして、部屋に戻ってきた。背中から梨沙を下ろし、まずはシャワーだ。彼女を先に入らせようと思ってそう言ったんだが、なぜか、梨沙が、ぷう、とふくれた。拗ねたような言葉。
「そこは、『一緒に入ろう』って言うところじゃないの?」
「えっ? あ、いや、その、だな?」
いや、別に梨沙と一緒に風呂に入ったことがないから、俺は戸惑ってるんじゃない。てっきり、あまりに恥ずかしいだろうから、彼女を尊重したつもりだんだが……?

「……嫌なの?」
「ち、ち、ち、違う違う! んなこたぁないって!」
おい、いいのか病人? とも思うんだが、どこか寂しそうに言われると、断れない。

……と、そんなわけで、梨沙と一緒にシャワーを浴びることになった。
お互い、汚れた服を脱いで、洗濯機の中に放り込む。何度も見ているはずの梨沙の裸身が、その朝は妙に艶かしく見えた。なんでだ?

浴室。給湯器の電源を入れ、水が湯になるのを少し待ってから、
「ほらよ」
と、梨沙に渡したんだが、なんか、梨沙が甘えるような顔をして言った。
「智也が、流してくれない?」
「あ、おう。分かった……?」
なんか調子が狂うな? と思いつつ、俺は手にボディソープを付け、シャワーで梨沙の身体を流してやった。
「あ、んっ……!」
「!?」
急に梨沙が甘い声を出して震えたもんだから、なにゆえ!? と思ったんだが、よくよく考えてみりゃ、ちょうど今、梨沙の股間を洗ってるところだったんだ。

「よぉく……洗ってね? 汚くなっちゃってるから、さ……」
「わ、分かってるって」
俺はまるで、女体に初めて触れる童貞男のようにぎこちなく、梨沙の股間、当然その中の性器周辺まで、丹念に洗っていった。の、だが。

「あふ、あ、んんんっ! ひゃ、はあっ……」
梨沙は、くなくなと腰をくねらせ、本気で感じているらしかった。そりゃあ俺の手で感じてくれるのは喜ぶべきだが、こと、今日に限っては明らかにおかしい。いったい、どうしたってんだ?
「ふあ、あ、あぁっ、んっ……ごめ、ともやぁ……まだ、お腹にぃ……んんんぅっ!!」

不意に梨沙がそんなことを口にしたと思うと、ぴしゅっ! と、俺の手に何かが噴出された。それが、梨沙のおしっこだということに気づくのに、俺はまた少し時間がかかってしまった。
「はあ、はあ、はああっ、ごめん、ね? また汚れちゃった……もっと、洗って……?」
「あ、ああ……」

なんだ? なんだ、この、今の梨沙から文字通り匂い立ってくる、超濃厚な色気は!? しかもこいつ……濡れてる。それもすごく。普段のセックスでも、こんな……ってほどだ。とりあえず、再度股間をこするように洗っていく。と。

「はあ、はああ、あ、ああ、ん、んーふ、んんんーふ、はあっ! はあああっ!!」
梨沙の声は、いよいよもって、その艶めかしさを増していく。

この荒く熱い吐息を聞いて、今の彼女が『興奮してない』と言える奴がいたら、そいつは大馬鹿野郎だ。興奮と言うより、発情してるぞ、こいつ。
何から何までおかしいことだらけだが、一つだけ確かなことがある。今、このむせ返るような濃厚なメスフェロモンの中、まともでいられる男は、まずいないってことだ。俺も、自分で「えぇっ!?」と思うほど、激しく勃起していた。

「智也ぁ……ねえ、智也ぁ……あ、あああ……」
切なげに俺を呼ぶ声。何をして欲しいか? 聞くだけ野暮ってやつだろう。
「梨沙……」
「ん、ちゅぅ……む、んふぅ……」
俺は、梨沙を抱き寄せてキスをした。普段は俺のほうが責めに回るんだが、今に限ってはまるで逆だった。まさしく熱病に浮かされるまま、梨沙が舌を入れてきて、俺の口の中を探りまくる。

当然、梨沙が風邪なのは分かってる。だが、風邪は他人に移すことで良くなるとも聞いたことがあるし、仮に両者ノックダウンとなっても、別に構わない。そういう意味では、俺も冷静じゃなかった。

「んちゅるっ、ちゅむうっ、んんーふっ、んふうーーっ、ぢゅる……ん、んぐぅ……」
あたかも、必死に助けを求めるようなキスだった。俺が助けてやらないで、どうするってんだ?

「んぱあっ……はっ、はあっ、はああっ、あ、ふぅ……ん……」
「梨沙ぁ……ふー、ふー、はー……」

糸を引いて唇が離れ、しばし、見つめ合う。俺も、頭の中がもう、脳味噌をミキサーにかけたみたいになってる。

やっぱりおかしい。俺は、今まで何度となく梨沙を抱いたはず。惰性でやったことなんざ、ただの一度もない。いつだって全力で愛したつもりだった。だが、だ。今は違う。とにかく分からんが、気分的には、本気のケンカを売られたのに似ているかも知れない。ああ、そうだ。今は、『マジのガチンコ』なんだ。

「後ろ、向けよ」
「ん……」
梨沙が、バスタブの縁に手を付き、こちらに尻を向ける。湯気の中でも、尻たぶの間がキラキラ光っているのが見えた。俺の興奮は、頂点だった。
「はああっ、そうぅらっ!!」
「んぃっ!! いあああああっ!!」
まさしくの意味で、俺は己の欲望をして、一息で梨沙を貫いた。同時に、明らかな中の異変に気づく。
「く、おおおっ……!?」
熱かった。マグマ溜まりの中に飛び込んだみたいだ。しかも、このッ、締付けッ……!! 意識が一瞬で持っていかれそうになるのをかろうじてこらえ、俺は、さらに梨沙の中をかき回していった。

「はうんっ! んっ! んいあああっ!! あんっ!! すごいっ!! 固ぁ……い、いああっ!! あぁっ!! あひっ、いいっ、いい、いいいいいいいっっ!!!」
風呂場だから、梨沙の嬌声にもエコーがかかる。のはいいんだが、彼女の感じ方も、やはり異様だった。
「ふぐっ、んっ、んいひいいっ!! ひうっ!! 奥っ!! 小突いてっ!! 当たってっ!! んお、おお、おはああああっっ!! すごっ、しゅごっ、お、おいひいっ、ひぎあっ、もっとッ、んもッ、もっと、シ、テぇっ……!!」

ぱすんぱすん、という腰と尻のぶつかる音と、ぐぢゅぐぢょ、ばぢゅんばぢゅん、とした粘液音を立てつつ、梨沙の昂りは、とどまることを知らない。こんな激しい乱れ方、するんだ、こいつ……? もしかして、俺は今、自分にスゲェ都合のいい夢でも見てるんじゃ? そんな気にさえなる。

「んッ!! ンンンッ!! んあっ!! ひぐうううっ!! ひび、くぅっ……!! おか、しく、な、るぅ……して、シ、て、とも、やぁ……おか、しく、おか、し、て、え、えああああああっ!!」

もはや、止めろと言われても止まらない。猛り狂う欲望のまま、喰らい尽くす勢いで、梨沙を貪る。
「ひっ、ひいいっ!! ひぐっ、ひぐあっ!! あが……か、かはあっ!! はひ、はひ、はひいっ、い、いいいっ、いひあ、あ、あわ、わ、わあ……しゅご、い、いへあ、へは、へああ、あ、あへぇぇえぇぇぇぇああああっっ!!」

梨沙も、頭のネジが何本かぶっ飛んだように乱れる。しかし、なんだろう。ここまで徹底してケダモノっぽさを見せてくれると、やけに嬉しい。
「はぐうっ、ぐひっ、ひぎゅうううっ!!! ん、んあっ、おま、んこぉ……焦げちゃ、うぅうぅうぅッ!! ダメっ!! ダメっ!! いいっ!! ダメでいいっ!! イクッ!! もうイクッ!! イグイグイグううううぅっ!! ぐが、が……かはあっ!! はひゅっ、ひゅーっ、ひゅーあっ、あ、イッちゃ、う、な、か、で、い、い、よ……だ、からあああああああッッッッッ!!!」

緊張の極みに達する、梨沙の中。俺の理性は、既にもう、ロケットに乗って大気圏をぶっちぎっていた。
「あはぐっ、ぐ……ううっ、く、来るっ、来ちゃうッ!! イグ……の、いっ、しょ、にぃ……おねが、い、よぉ……も、ダ、メぇ……イ、ク、あ、あぁあぁあぁあっ……!!」
「うおわああああああああッッッッッ!!!」
そして俺は、己の白い大量の滾りを、余さず梨沙の胎内にぶちまけた。

「んひゅううッッ!! ひ、イッ、くはぁあぁああぁあぁーーーーーーッッッッッ!!!」
「むおっ!?」
急激に吸い上げられる感覚。こいつッ!! 俺の魂まで持っていくつもりかよッ!?
「あひっ、出てるっ、お腹っ、いっぱいっ!! イッてるっ!! あたしっ!! すごくイッてりゅっ、へは、へあ、ふわ、あ、あへぇぁ……しゅご……しゅぎぃ……ふあ……」
「はー、はー、あ、おい、梨沙!?」
ずるずると、梨沙が崩れ落ちる。そこで、ハタと素に返った。
「た、大変だっ!」
慌てて再度梨沙の身体を熱いシャワーで流し、なにはともあれ、俺は彼女を抱えて風呂場を出た。

……その後。梨沙にパジャマを着せ、ベッドに横たえて、俺は、彼女が目覚めるのを待った。
しばらくして、うっすらと梨沙が目を開いた。俺を認めたらしい。かあっと顔が赤くなる。
「「ごめんっ!!」」
申し合わせたかのように、ハモった。
「えっ?」
「えっ?」
そしてお互い、「どうして謝る(の)?」と不思議がる。
無言の間。なんだよ、この謎のお見合いみたいな空気は!? 俺と梨沙は、付き合い始めて五年だぞ? ま、まあ、先に改めて謝るべきは俺だろう。ばつの悪い思いで、切り出した。
「す、すまんな、梨沙。俺、どうかしてたよ。その、あー……なんだ? え、あ、お、俺、そんな趣味はないはずなんだが、お前が俺の背中で失禁したのを見て感じて、なんか妙な気分になっちまって……」
「…………」
梨沙は、何も言わなかった。さらなる墓穴かも知れないが、俺の中ではっきりしてることを言おう。
「ひ、一つ誓える! さっきのお前、すんげぇ可愛かった! あう、そ、その、ほ、惚れ直す程度には! すんげえ!」

「……うぅっ……」
俺の言葉を聞いて、梨沙は、顔を覆って泣き始めた。うわあ、すげえ罪悪感……と思ったんだが、違った。

「ありが……と……。ほんとに、ありがと……。嬉しい……」
梨沙の涙は、歓喜のそれだった。悲しませたんじゃないなら一応はオッケーだが、なんでこいつ、泣くほど喜ぶんだ? いや、待て。俺はこいつのと長い付き合いの中で、こんな嬉し泣きするのを見たことがない。

多分だが、心の深いところに根ざす理由があるはず。そう、彼氏の俺にも言えなかったような。
仮にそうだとするならば、俺には、こいつの心を、多少なりとも癒やす義務がある。軽く、息を吐く。

「俺に、理由を話せるか? なんでお前、そこまで喜んでるんだ?」
柔らかく問うてみると、梨沙は、涙の溜まった赤い目で、鼻をすすりながら答えた。
「ん、うん……。実はね、あたし……ずぅっと誰にも言えなかったクセがあるの……」
「ってぇと?」
続けて促すと、梨沙の顔が、火を吹かんほどに赤くなる。もぞもぞとした言葉。
「……おしっこ……するとね? えっちな気分に、火がついちゃうの……。うんと我慢して、イケナイ場所でおもらししちゃったりしたら、もうだめ……止まんなくなるの……」
「あっ! それでか!」
こいつとの今までを振り返れば、ベッドインする前は、必ずトイレに行ってた。あるいは、二人で例えば外の居酒屋で酒を飲んで、帰り道で「おトイレ!」と叫んだ時は、家に帰ってからは、ほぼ間違いなく迫られた! 今の梨沙の説明が本当なら、全てに辻褄が合う!

「じゃ、じゃあ、俺の背中で漏らした時に泣いてたのは?」
「……ごめん、あれ、嘘泣き……」
「さ、さようで……」

つまりは、野外での俺の背中、という「イケナイ場所」で、「思いっきり我慢して」漏らしたって時点で、こいつのスイッチはオンになってた、ってことだ。なら、さっきのあの燃えっぷりも分かる。

しかしなあ、そりゃ、こういう性癖を、おおっぴらにはできんよなあ。嘘泣きぐらいは、全然許せる。しょんぼりと、梨沙が言う。
「この癖のせいで、あたし、いっぱい失敗してきたんだ……。ヘンタイさん、だよね……あたし……。でも、さっき智也が思いっきり答えてくれて……すごく、嬉しくて……ゴメンだけど、ホントなのかな? って……」

仮にも恋人に、すがるような目で見つめられてみろ。突っぱねられる男がいたなら、そいつは真の意味で相手を愛してないってことだ。
「あっ……?」
梨沙の、少し驚く声。俺が、彼女の頭を優しく撫でたからだ。小さく微笑んで、言う。
「俺的にはな、梨沙。それがどうした? だよ。むしろ、俺、すげえ嬉しいよ。お前の本当のことを知れて、まあ結果的にだが、お前に答えてやれたんだ。ありがとう」
「ぐじゅっ……ども゛や゛ぁ゛……大好きぃ……」
涙と鼻水でぐじゃぐじゃの、梨沙の顔。そして俺たちは、かなり長めのキスをした。それが終わっても、梨沙は、俺の胸でしばらく甘えていた。ああ、可愛い。

そこでと言っちゃなんだが、梨沙の身体が、まだかなり熱っぽいことを思い出した。
「今更だが、梨沙。当分安静だな」
「うん、そうだね。ごめんね?」
「ばーか、そんなことで謝るなよ。何のための彼氏なんだよ?」
「くすっ、じゃあ、おもいっ……きり、甘えちゃおうかな?」
「おう、どんと来い」
そこまでは軽いノリだったんだが、梨沙の言うところの「思いっきり甘える」は、俺の想像の斜め上を行っていた。

その後。アイスノンを冷凍庫から出してきたり、備蓄のスポーツドリンクの濃縮粉末で経口補水液を作ったりして、俺はひたすら梨沙の看病にあたった。今更だが、大学は自主休講だ。

のは、いいんだが、
「う、ううう~~~おトイレぇ……行きたいけど、起き上がれないぃ~~……」
「んなっ」
こまめに水分を補給したせいだろう、またトイレに行きたくなるのは分かるんだが、起き上がれない、だと? ここでおもらしされたら、ベッドの後始末が大変だ。うーん、仕方ない。
「よっ、と!」
「ひゃうっ?」
俺は、梨沙をお姫様抱っこして、トイレまで連れていくことにした。家自体広いわけじゃなし、間に合うことは間に合ったんだが、梨沙がモジモジと照れながら言った。

「見てて……くんない?」
「へ!? え、あ、お前が、おしっこするところを、か!?」
「……嫌?」
「ま、待った待った! 誰もそんな事は言ってないって!」
梨沙には悪いが、ちょっと「うわあ」と思った。見せたがりの気もあったのかよ、こいつ!? 戸惑う俺を見てか、少し梨沙が膨れる。
「むー、智也にだけ、見てほしいの!」
「あ、ああ、分かった……」
惚れてる相手に『秘密を共有しよう』と提案されて、やっぱり、誰が断れるか? って話だろう。
「じゃあ……するよ?」
「んぐっ……」
便座の上で、足を開き気味にする梨沙。知らずのうちに、俺は喉を鳴らしていた。どうやら俺も、妙なスイッチが入ったらしい。
「はー、はー、あ、ンッ……!」

ぷしゃっ! しょおおおおお……!!

と、勢いよく、梨沙の股間からおしっこが吹き出す。汚いシーンのはずなのに、やたら興奮している俺がいた。
「は、あうっ、ん、出てるッ、いっぱいッ、智也に見られながらッ、おしっこしてるッ! 出るのッ! まだ出るのッ! ふは、あ、あぁ……気持ちいいぃ……」

まさしく、恍惚としている梨沙だった。その艶めかしさたるや、今すぐこの場で、もう一度彼女を犯したい程だ。

しかし、今日はもう徹底的と言えるほどやった。おまけに、梨沙は病人だ。無理をさせるわけには行かない。動悸を収めるのに、俺はかなり苦労した。
「あふう……はー、はー、はああー……」
あたかも、軽く絶頂を迎えたような顔で、梨沙のおしっこが終わった。トイレットペーパーで股間を拭く際、
「あンッ!」
と、やたら甘い声が漏れた。多分だが、濡れてるんだろう。ああ、かわいやらしい。

梨沙の甘えっぷりは、さらに加速を付け始めた。夕方頃になって、
「ねえ、智也?」
「うん?」
「あたしさ、どーしても、智也と一緒にシたいことがあるんだけど……聞いてくれる?」
「ってえと?」
俺が聞くと、梨沙は、まるで夢みる乙女のような顔で、うっとりと言った。
「おむつ……買ってきて欲しいな? あたし、履きたいから」
「はいぃ!?」
予想だにしなかったことを言われて、声が裏返った。
あの、梨沙さん? 別に俺は、あなたの恋人として、存分に甘えられるに全くやぶさかではないのですが、それはもはや看病の域を逸脱してませんか!?

俺はかなり動揺したんだが、同時に、なぜか無性に、『梨沙のおむつ姿』というのが見たい気もする。
「お、おう、分かった。んじゃ、近所のドラッグストアまで、ひとっ走り行ってくるよ」
「わあい♪」
そんなわけで、俺は急いでドラッグストアまで行って、適当なパンツタイプの紙おむつを買った。会計の時、別に万引したわけじゃないのに、謎の緊張感に襲われたのは秘密だ。

で。再び俺の家。
「どれがいいか、まるで分からんかったから、直感で選んだが、これでいいか?」
「うんうん! 全然オッケー! 当然、履かせてくれるよね?」
「お、おう……」

「朝起きたら、まず顔を洗うよね?」ぐらいのノリで言われた。い、いいんだろうか? なんか、すんげぇ背徳感を感じる。

しかし、躊躇してても仕方ない。俺はおむつのパックを開け、一枚取り出した。それを見る梨沙の目は、おやつを見つめる仔犬そのままだった。
「んじゃ、その、アレだ。脱がせる、ぞ?」
「ん♪」
期待感満点で、こくんとうなずく梨沙。ずいぶんデカい赤ん坊だ。
ともあれ、寝かせた姿勢のまま、そうっとパジャマのズボンを下ろす。すぐに、ショーツが目に飛び込んでくる。またぞろ、むぅっとしたメスの匂いが感じられた。ごく軽い目眩をこらえ、それも脱がせる。

「…………」
う、うーん? 梨沙のおまんこぐらい、何度となく見てるはずなんだが、この妙な新鮮さは何だ? ええい、もたもたしてたらまたケダモノになりそうだ。さっさとおむつを履かせよう。

「ふう、これでいいか?」
「うん、ありがと♪」
いかにもご満悦、といった様子の梨沙だった。しかしなあ、ミスマッチの極みで、なんかまた、軽くめまいを覚えるほど、今のこいつが可愛く思える。どうやら俺、梨沙と同じ方向に目覚めちまったらしい。

「……梨沙」
「なあに?」
「今のお前……可愛いな」
「ホント!? うわ、嬉しいなぁ♪」

ぱあっと笑顔をはじけさせる梨沙だった。ああ、俺達は今、世間一般的にはイケナイ方向へ進んでいる。
「とりあえず、だ。履くものが履けたんだし、後はおとなしくしとけ」
「うん、分かった……」

そして梨沙は、心底安心したかのように、それからすぐに、すうすうと寝息を立て始めた。病気の時は、寝るに勝る薬はない。やっと一息つく俺だった。

と、思ったら、甘かった。夜になって、そろそろ俺も寝るか、という頃になって……
「んっ……あはぁ……」
艶っぽい吐息を漏らしつつ、梨沙が目覚めた。キョロキョロとあたりを眺め、俺がまだそばにいることを認めるや、
「あは……♪」
と無邪気なまでに微笑んだ。
「どうした?」
「ん……おしっこ……」
モジモジ照れつつ言うさまが、殺傷力を持つほどに可愛い。だが、だ。
「そのための、おむつだろ?」
俺がそう言うと、梨沙は、ぽうっと頬を染めた。
「うん……。だから、また見てて?」
「……おう」
もはや、動揺はしない。むしろ、その瞬間に立ち会えることに、歪んだ興奮を覚える。
「じゃあ、あ、ああ、ん、で、出るぅっ……! ふあ、あ、あはああああッッ!!」

じょおおおぉぉぉぉぉーーーーっ!

と、梨沙のおしっこが、紙おむつにぶつかる音がする。彼女はと言うと、
「はっ、はああっ、あ、あんっ! ん、んあッ! はー、はああーー、あはあああーーー……ん……」
やっぱりと言うべきか、極度に興奮しているようだった。とろぉんとした目で、俺を見つめる。
「……だっこ……」
「ああ」
ぎゅっと、梨沙を抱きしめる。胸の中での言葉。
「……ちゅう……」
「いいとも」
「んぢゅぅ……んぐ、くむ、はぐっ……むぢゅ、ちゅむるうぅっ……んくふむっ、んんーふっ、ふむうーうっ、はぐ、あむ、ぢゅるっ、はぶうっ……んぐん……」

哀れに飢え果てた痩せ犬が、久しぶりの餌にありつくような、普段の梨沙からは想像もつかない、がっついたキスだった。当然のことながら、彼女から舌を入れてきて、俺の口の中がしゃぶりあげられる。よだれが溢れても、まるで気にしなかった。

「~~~~ッ、ぷはあああっ!! は、はああ、あ、あわあ……とも、やぁ……たす、け、てぇ……! も、あ、あたしぃっ……!」
わなわなと震える梨沙。過度の興奮で、もはや己を制御できないんだ、ってことが、直感で分かった。ただ、だからこそ、俺は冷静になれた。
「どうすればいい? どうして欲しい?」
「はひっ、はひいっ、い、いあっ、脱が、せてぇ……おしっこいっぱい含んだおむつ、脱がせ、てぇ……後、はぁ……分かんないぃ……ふえぇ……ぅむっ?」

途方に暮れて泣き出しそうな梨沙の唇を、もう一度そっと塞ぐ。彼女の震えが収まった頃、俺は、彼女のおむつを脱がせた。

おしっこをたっぷり吸って、ずっしりと重くなったおむつ。それを脱がせると、梨沙の股間は、まさに大洪水だった。

……俺を誘ってやまない、甘酸っぱい匂いがする。
とても、美味そうだった。俺は、梨沙の足を広げると、何のためらいもなく、そのしとどに濡れたおまんこにしゃぶりついた。

「んあああああッッ!? と、智也っ!? き、汚いよぉっ!! あひっ、ひあ、あ、あぁあぁあぁあぁんッッ!! ん、んはあっ!! そんなっ、じゅるじゅる音立てちゃっ!! あひっ、ひはっ、あ、あうああっ!! 恥ずかしッ!! い、いいっ、けどッ!! いい、いい、いいッ、いひいいいいいいいいッッッ!!」

おしっこの味と、濃厚極まりない愛液が混ざったその蜜は、まさしく極上の甘露だった。いくらでも舐められるし、舐めればそれだけ、奥からどんどん溢れてくる。俺は、夢中になっていた。

「はうっ!! あはううっ!! うれ、しひいいいっ!! はーッ!! あはああーーッッッ!! あいっ! いああっ!! あう、ん、き、ひ、あ、あうああッ! 感じ、すぎちゃ、あ、らめぇ……そんな、されたらぁ……また、また、またあぁあぁあぁあぁっ!!!」

ぷしゃあっっっっ!!!

「むぐっ……!」
俺の口の中に飛び込んで来る、熱い勢いがあった。どうやら、また漏らしたらしい。俺に、飲まないという選択肢はなかった。
「あひっ!! イッてるっ!! あたしッ!! おもらししながらイッてりゅぅっ!! あ、ああ、そんなっ、はひ、あひ、飲んで……? ああ、うれ、し、い、いあ、あへ、へはあああああっっ!! イクのがッッッ!! 止まんないのぉぉぉぉぉッ!!」
ビクビクビクッ!! と全身をわななかせ、梨沙は、絶頂の激流に翻弄されているようだった。
「あへ……はへぁ……えへ……えへへぇ……は、はあ、あ、えはぁ……しあわ、せぇ……こんなに、しゃーわせぇ……いいの……? あたし、いいのぉ……?」
「いいんだ……よっ」
トドメに俺は、梨沙のクリトリスを、こりりと甘く噛んだ。
「きひゅうっ!? イッ、あはあああーーーーーーーッッッ!!!」

ぐうんっ! と身体を弓ならせ、梨沙は、再度絶頂を迎えた。
「はふ、はふ、ぜっ、ぜはっ、ひーは、ひいいーは、も……らめ……あたまぁ……ばかになっちゃったぁ……ふー、はー、あー、あー、あああー、と、ともやぁ、ともやぁ……ちゅう……」
「愛してるぜ、梨沙……」
「んちゅう……うん、うん、うん……」
よだれまみれの長いキスの間、梨沙は、ぽろぽろと泣き続けていた。

それから。俺は梨沙に新しいおむつを履かせ、その日は一緒に寝た。

彼女が風邪から回復したのは、二日後ほどだった。
その後の梨沙は、すっかりおむつがお気に入りになってしまった。俺とのセックスは、ほぼ確実に、おむつプレイになってしまったわけだが、別に俺に文句はない。

そして、少し先の未来。結婚式のウェディングドレスの下にも、梨沙はおむつを履いて、俺とヴァージンロードを歩くことになる。

おしまい。

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