SF(少し・不条理) ぶわっ 7 お約束の風景 (がくん!) 「おわぁっ!?」 僕は、階段を踏み外したような感覚で我に返った。びくり、と体が震え、音を立ててテーブルの上の物が揺れる。おっと、危ない、危ない…。慌てて体制を整え、辺りを見渡した。どうやら、くつろぎすぎてうたた寝していたようだ... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 6 何処とも知れぬ風景 「あらボーヤ、さっきも会ったわよね。どう? アタシの体、しっかり見てくれた?」 つややかな、たっぷりの黒髪、頭身の高い背丈。それを包む、薄紫のコート。襟から上、顔の、突き抜けそうなほど透き通る白い肌。黒目がちの大きな瞳。流れるような、垂れ気... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 5 あの女性がいる風景 「やあやあ、どうも、ご無沙汰しております! お世話になります!」 「こちらこそ、どうも…」 サラリーマンの挨拶、 「あら奥さん、お買い物?」 「ええ、ちょっと変わった物が欲しくなって、そこのお店まで。輸入物の変わった食材、ございますでしょ?... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 4 トレンチコートだけの風景 (がくん!) 「おわっ!?」 僕は、階段を踏み外したような感覚で我に返った。びくり、と体が震え、音を立ててテーブルの上の物が揺れる。危ない、危ない…。慌てて体制を整え、辺りを見渡した。…そこは、さっきまでと同じ喫茶店。どうやら、くつろぎすぎ... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 3 トレンチコートのある風景 別に、『あの距離をどうして一瞬で?!』なんて物じゃない。話が前後するけど、僕の座っている席は、壁沿いに据え付けられた、一脚の長いソファー。その前に、五〇センチ四方ほどの二人掛け用のテーブルが、これまた五〇センチ間隔ほどで並び、それぞれに椅子... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 2 奇妙な女性のいる風景 そんな、僕の回りだけゆっくり時間が流れているような錯覚の中、僕は再び、視線を自分の周囲まで引っ張り戻してきた。ちょっと首の辺りがこったみたいだな。そう思った僕は、少し勢いをつけてブン、ブン、と頭を左右に振った。 (ごき くき…) そんな音と... 2019.05.09 SF(少し・不条理)
SF(少し・不条理) ぶわっ 1 喫茶店の風景 一つ質問をさせていただきたい。 皆さんは、喫茶店に入って、上着を脱ぐだろうか? 僕はもちろん脱ぐ。重たいし、店の中は空調が効いているからね。それに、僕の場合は大抵長居をするから、なおさらだ。でも、そこはそれ、人それぞれだから、『かくあるべし... 2019.05.09 SF(少し・不条理)