結局、何も起きなかった。車内に甘い呻き声が響くことも 、大洪水が突如として出現することも。車が自分の家の前に停まった時、俺は心の底から神に感謝した。
「さて、荷物を降ろしますか」
諏訪さんはリア・ハッチのロックを解除し、車から降りて荷物を降ろすために後部へまわった。俺は取りあえずゆーきに声を掛ける。
「おーい、家に着いたぞー。ほらゆーき、起きろって」
クサい芝居だが仕方ない。ったく、いつまで寝たふりしてんだか。俺は再度呼びかけようと、ゆーきの耳許に口を近づけた。すると、ゆーきの唇が微かに動いた。
「……潤一さん、立てないよぉ……」
「何言ってんだ? ほら、早く降りようぜ」
不審に思って急かすと、ゆーきは目を開いてじっと俺を見つめた。潤んだ熱っぽい眼差し。夜、布団の中で何度も見慣れている筈なのに、日の光の下で見るとまた違った印象を与えるもんなんだなと、俺は妙なところで感動していた。が、いつまでもこうしているわけにはいかない。一瞬、考えてから俺は行動した。
「ゆーき、そのまま待ってな」
そう声をかけておいて、俺は近いほうのドアから車外に出て、反対側へまわった。ゆーきの横のドアを開けて抱えるようにして外へ出す。そこまでした時、魚を選り分けてる諏訪さんから声がかかった。
「お、大丈夫かい、ゆーき君は? 車酔いかな?」
「いや、ちょっと寝惚けてるだけですよ。寝起きが悪くて仕方のないヤツで……」
先程から不思議なほど冷静になってしまった俺は、これ以上無いほど自然な受け答えをした。ちなみに本当のところ、ゆーきの寝起きは俺の10倍くらい良い。ま、今のセリフは毎朝布団から出られない俺に“急降下爆撃”をお見舞いしてくれるゆーきに対して、ささやかなお返しをしたということだな。
「じゃあ目が覚めてからになるかな、魚をさばくのは……」
そう言いながら、諏訪さんは魚の入ったビニール袋と1冊の本を渡してくれた。左手しか空いていない俺は、袋の取っ手に手をくぐらせて本を受け取った。ん、釣りの本?
「魚のさばき方が後ろの方に載ってるから、良かったら参考にするといい」
最後まで用意の良い人なんだなあと、改めて感心させられてしまった。更に、俺とゆーきが今日一日お世話になったお礼を言い、それに対して諏訪さんが、いやいやなんの付き合ってもらったのはこっちだから、なんてやり取りがあったりした。そして諏訪さんが、
「じゃあ、友部君、また月曜にね。ゆーき君も、また」
と言って車に乗り込みドアを閉めたのを確認して、俺は顔の向きを変えないままゆーきに囁きかけた。
「ずぅーっとヒヤヒヤしっぱなしだったんだぞ、ゆーきぃー」
「ご、ごめんなさ……きゃっ!」
俺は返事を待つことなく、ゆーきの腰にまわしていた右手を、お尻から股間へ通すように移動した。そのまま手の平を上に向けて軽く持ち上げるようにする。もちろん、諏訪さんからは見えないことも承知している。路上駐車の車のお陰で俺たちの下半身は死角になっているのだ。
「謝ってもダーメ。お仕置きだ……」
右手の指先だけを動かしながら言った俺の言葉に、湿った音が重なった。それをボリュームアップすべく、熱い粘液と空気を中指でやや乱暴にかき混ぜる。期待通りの効果が現れ、淫らで魅力的な音がはっきりと聞こえた。
「……あ……やぁ……は、恥ずかしいよぉ……音、立てちゃ、や……」
泣きそうな顔と声で抗議するゆーきに、俺は更に試練を追加する。なんだか今日の俺はちょっとサディスティックだなと自覚しつつも、別に自分の行動に対してブレーキを掛けようとも思わないのが不思議だ。
「や、って言ってもゆーきがココをこんなに濡らしちゃってるからなあ、どうしても音が出ちゃうんだよ。それよりほら、ゆーき、諏訪さんが手を振ってるぞ。自然にしてスマイル、スマイル。ミラーで見るかも知れないから車が見えなくなるまで頑張らなきゃ」
今のゆーきにとっては地獄に等しい試練を最大限優しい声で与えながら、俺は横目でゆーきの顔を盗み見た。驚いたことにゆーきはちゃんと笑顔を作り、あまつさえ遠ざかりつつある諏訪さんの車に手を振り返してまでいた。うーん、健気、健気。ま、腰が少し引けてることと顔が真っ赤なこと、目が潤んで虚ろなことを除けば良い演技だ。でも、これならどうかな?
「……はうぅぅっ!」
ゆーきの身体が跳ね上がり、仰け反る。俺は中指の腹でゆーきの熱く濡れたクレヴァスを端から端まで擦ると同時に、柔らかで可憐な左右の花びらを人差し指と薬指で挟み圧迫した。徐々にスライドのスピードを上げていく。ゆーきの身体ががくがくと震え始めた。
「……じゅ、潤一さ……ぁん……も、もぉ、止めてぇ……これ以上されたら……ボク……ボクぅぅぅっっ……」
「ん? これ以上したら……どうなるのかな?」
俺は目で諏訪さんの車を追いながらとぼけた。車はちょうど角を曲がって視界から消えるところだった。他に通行人もなく、俺とゆーきの二人だけが存在する空間。午後の明るい陽射しの中、二人で演じる痴態。
「も、もぉ……駄目ぇ……ボク……ボクぅ……変になっちゃう……くうぅぅっ……んんっ……も、洩れちゃうっ、おしっこ出ちゃうっ、おトイレ、おトイレに行かせてぇっ!」
最後は完全に悲鳴になってしまっているゆーきの恥ずかしい告白を聞きながら、俺は左手の荷物を誰のモノとも判らない車のボンネットの上に置いた。ラストスパートをかけるのに両手を必要としたからだ。幾分、右手のスライドのテンポをスローダウンしながら、左の掌でゆーきの左胸のささやかな膨らみを包み込むようにする。ふんわりと柔らかい手触りの中に、自己の存在をアピールするポイントを感じる。決して大きくないのに、不思議とヨットパーカーと、その下のお子様ブラの生地に紛れてしまわないそれを、俺は人差し指と中指で挟み込んだ。一端、そこで両手の動きを止め、背中に被さるようにして俺はゆーきの左耳に口を近づけた。
「いかせてあげるよ、ゆーき。トイレじゃないけどな」
言い終わると同時に、俺は出来得る限り最高の愛撫をゆーきの全身に与えた。細い首筋には、唇と舌で。小さな胸には、左手全部で。熱く蕩ける花びらと谷間を、右手で。とどめに右手の中指の爪で、最も敏感な蕾を押し潰すようにする。
「!!!」
声も無く身体をこわばらせ、痙攣するゆーき。両腿で痛い程俺の右手を締め付ける。数秒間そのままの姿勢でいたが、やがてゆっくりと天を仰ぐように顔が上を向き、俺のシャツを握りしめていた左手の指から力が抜けて垂れ下がった。そして予想していた以上の熱い液体の感触。懐かしいような、それでいて何度聞いても新鮮な音。
「さて、荷物を降ろしますか」
諏訪さんはリア・ハッチのロックを解除し、車から降りて荷物を降ろすために後部へまわった。俺は取りあえずゆーきに声を掛ける。
「おーい、家に着いたぞー。ほらゆーき、起きろって」
クサい芝居だが仕方ない。ったく、いつまで寝たふりしてんだか。俺は再度呼びかけようと、ゆーきの耳許に口を近づけた。すると、ゆーきの唇が微かに動いた。
「……潤一さん、立てないよぉ……」
「何言ってんだ? ほら、早く降りようぜ」
不審に思って急かすと、ゆーきは目を開いてじっと俺を見つめた。潤んだ熱っぽい眼差し。夜、布団の中で何度も見慣れている筈なのに、日の光の下で見るとまた違った印象を与えるもんなんだなと、俺は妙なところで感動していた。が、いつまでもこうしているわけにはいかない。一瞬、考えてから俺は行動した。
「ゆーき、そのまま待ってな」
そう声をかけておいて、俺は近いほうのドアから車外に出て、反対側へまわった。ゆーきの横のドアを開けて抱えるようにして外へ出す。そこまでした時、魚を選り分けてる諏訪さんから声がかかった。
「お、大丈夫かい、ゆーき君は? 車酔いかな?」
「いや、ちょっと寝惚けてるだけですよ。寝起きが悪くて仕方のないヤツで……」
先程から不思議なほど冷静になってしまった俺は、これ以上無いほど自然な受け答えをした。ちなみに本当のところ、ゆーきの寝起きは俺の10倍くらい良い。ま、今のセリフは毎朝布団から出られない俺に“急降下爆撃”をお見舞いしてくれるゆーきに対して、ささやかなお返しをしたということだな。
「じゃあ目が覚めてからになるかな、魚をさばくのは……」
そう言いながら、諏訪さんは魚の入ったビニール袋と1冊の本を渡してくれた。左手しか空いていない俺は、袋の取っ手に手をくぐらせて本を受け取った。ん、釣りの本?
「魚のさばき方が後ろの方に載ってるから、良かったら参考にするといい」
最後まで用意の良い人なんだなあと、改めて感心させられてしまった。更に、俺とゆーきが今日一日お世話になったお礼を言い、それに対して諏訪さんが、いやいやなんの付き合ってもらったのはこっちだから、なんてやり取りがあったりした。そして諏訪さんが、
「じゃあ、友部君、また月曜にね。ゆーき君も、また」
と言って車に乗り込みドアを閉めたのを確認して、俺は顔の向きを変えないままゆーきに囁きかけた。
「ずぅーっとヒヤヒヤしっぱなしだったんだぞ、ゆーきぃー」
「ご、ごめんなさ……きゃっ!」
俺は返事を待つことなく、ゆーきの腰にまわしていた右手を、お尻から股間へ通すように移動した。そのまま手の平を上に向けて軽く持ち上げるようにする。もちろん、諏訪さんからは見えないことも承知している。路上駐車の車のお陰で俺たちの下半身は死角になっているのだ。
「謝ってもダーメ。お仕置きだ……」
右手の指先だけを動かしながら言った俺の言葉に、湿った音が重なった。それをボリュームアップすべく、熱い粘液と空気を中指でやや乱暴にかき混ぜる。期待通りの効果が現れ、淫らで魅力的な音がはっきりと聞こえた。
「……あ……やぁ……は、恥ずかしいよぉ……音、立てちゃ、や……」
泣きそうな顔と声で抗議するゆーきに、俺は更に試練を追加する。なんだか今日の俺はちょっとサディスティックだなと自覚しつつも、別に自分の行動に対してブレーキを掛けようとも思わないのが不思議だ。
「や、って言ってもゆーきがココをこんなに濡らしちゃってるからなあ、どうしても音が出ちゃうんだよ。それよりほら、ゆーき、諏訪さんが手を振ってるぞ。自然にしてスマイル、スマイル。ミラーで見るかも知れないから車が見えなくなるまで頑張らなきゃ」
今のゆーきにとっては地獄に等しい試練を最大限優しい声で与えながら、俺は横目でゆーきの顔を盗み見た。驚いたことにゆーきはちゃんと笑顔を作り、あまつさえ遠ざかりつつある諏訪さんの車に手を振り返してまでいた。うーん、健気、健気。ま、腰が少し引けてることと顔が真っ赤なこと、目が潤んで虚ろなことを除けば良い演技だ。でも、これならどうかな?
「……はうぅぅっ!」
ゆーきの身体が跳ね上がり、仰け反る。俺は中指の腹でゆーきの熱く濡れたクレヴァスを端から端まで擦ると同時に、柔らかで可憐な左右の花びらを人差し指と薬指で挟み圧迫した。徐々にスライドのスピードを上げていく。ゆーきの身体ががくがくと震え始めた。
「……じゅ、潤一さ……ぁん……も、もぉ、止めてぇ……これ以上されたら……ボク……ボクぅぅぅっっ……」
「ん? これ以上したら……どうなるのかな?」
俺は目で諏訪さんの車を追いながらとぼけた。車はちょうど角を曲がって視界から消えるところだった。他に通行人もなく、俺とゆーきの二人だけが存在する空間。午後の明るい陽射しの中、二人で演じる痴態。
「も、もぉ……駄目ぇ……ボク……ボクぅ……変になっちゃう……くうぅぅっ……んんっ……も、洩れちゃうっ、おしっこ出ちゃうっ、おトイレ、おトイレに行かせてぇっ!」
最後は完全に悲鳴になってしまっているゆーきの恥ずかしい告白を聞きながら、俺は左手の荷物を誰のモノとも判らない車のボンネットの上に置いた。ラストスパートをかけるのに両手を必要としたからだ。幾分、右手のスライドのテンポをスローダウンしながら、左の掌でゆーきの左胸のささやかな膨らみを包み込むようにする。ふんわりと柔らかい手触りの中に、自己の存在をアピールするポイントを感じる。決して大きくないのに、不思議とヨットパーカーと、その下のお子様ブラの生地に紛れてしまわないそれを、俺は人差し指と中指で挟み込んだ。一端、そこで両手の動きを止め、背中に被さるようにして俺はゆーきの左耳に口を近づけた。
「いかせてあげるよ、ゆーき。トイレじゃないけどな」
言い終わると同時に、俺は出来得る限り最高の愛撫をゆーきの全身に与えた。細い首筋には、唇と舌で。小さな胸には、左手全部で。熱く蕩ける花びらと谷間を、右手で。とどめに右手の中指の爪で、最も敏感な蕾を押し潰すようにする。
「!!!」
声も無く身体をこわばらせ、痙攣するゆーき。両腿で痛い程俺の右手を締め付ける。数秒間そのままの姿勢でいたが、やがてゆっくりと天を仰ぐように顔が上を向き、俺のシャツを握りしめていた左手の指から力が抜けて垂れ下がった。そして予想していた以上の熱い液体の感触。懐かしいような、それでいて何度聞いても新鮮な音。
(ジュウウウウゥゥゥゥ……)
俺の手と閉じた脚のせいで、ゆーきのおしっこはまったく前に飛ばず、幾つもの細い流れとなってパーカーの裾から現れ、腿からふくらはぎやスネを伝ってスニーカーの中に流れ込んでいった。1日に二度も足を汚すのはさすがに可哀想な気がした俺は、両手とも持ち替えてゆーきの両脚を後ろから抱えるようにした。早い話、母親が幼児におしっこをさせるポーズである。他人様の車に滴が跳ねないように体の向きを90度変え、下を見る。最初に目に入ったのは真っ白で滑らかなゆーきの下腹部。パーカーの裾がずり上がってしまったため、おへその辺りまで見えている。それは大いに魅力的な光景であったものの、俺の視線を釘付けにしたのは別の場所だった。
「……ん……ふぅぅ……」
鼓動を聞こうとしているかのように、右耳を俺の胸に押し当て目を閉じたゆーきの横顔。僅かに目尻が涙で濡れてはいるが、俺には微笑んでいるように見えた。恍惚・解放・満足といった感情が怒濤のように通り過ぎた後の、純粋な微笑み。その表情に俺が強烈に感動していると、放尿を終えたゆーきが目を閉じたまま呟いた。
「……潤一さん……ずっと……抱っこ……してて……ね……」
「……ん」
俺の返事が聞こえたかどうか。今度こそ本当にゆーきは眠りの世界に入っていった。
どうやら魚をさばいて晩飯の仕度をするのは俺の仕事になりそうだが、この微笑みと引き替えならそれもまた良し、かな。その前に30分ぐらい添い寝してやろう。そんなことを考えながら、俺はゆーきを抱えたままの指に荷物を引っかけ、マンションの玄関へと向かっていった。
《終わり》