D's NEST

お呪(まじな)い~コレクション・ハウスの夜3_5

5.イシの檻

 それから、何人もの『被告人』の『裁判』が『執行』された。
由佳も、何度か『執行人』になった。そのたびに、得も言われぬ『充実感』が彼女を支配した。『自分は、今、確実に人の役に立っている』

ここがどこだっていい。ずっと居たい。由佳は、心からそう願っていた。



 その高校での、生徒連続失踪事件は、もう何件目だろうか。登校途中、下校時、突然行方が解らなくなる。手がかりもない。家族や学校にも、思い当たる節が全くない。それが、この事件の共通点だった。
様々な憶測、推論、デマが飛び交ったが、事件はなおも拡大した。そのためか、奇妙であるにも関わらず、その事件は小さく扱われた。
ある雨の日、民家の庭で、女子高校生の死体が発見された。
奇妙な点は、それが『突然』現れたことだった。にもかかわらず、すでに腐乱しかけており、加えて運ばれた形跡もない。
しかし、事件は、死体があった場所の上が、その生徒の部屋だったことから、自殺と断定された。そして、死体遺棄の容疑で母親を事情聴取する、と記事は締めくくっていた。

だが、その死体が、腐乱しかかっているにも関わらず『笑っている』ように見えたことと、傍らに、本が落ちていたことは全く触れられていなかった。

立派な赤い装丁だっただろう……と、推察しかできない程に雨と泥にまみれ、朽ちかけたその本の傍らに、同じく赤い紙が落ちていた。

不思議なことに、雨にも形を崩さないその紙には、銀のインクでこう書かれていた。

『コレクション・ハウスへようこそ!』
-了