私とアタシ 3

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3.回帰

 部屋に戻って気分が落ちつくと、あの声が言います。
『さぁ……服を脱いで……。生まれたままの姿になるんだ……』
「うん……」
言われるままに、服を全て脱ぎました。
『次は、ベビーパウダーだ……』
「あぁ……」
パタパタと下半身に粉をはたき、いよいよ……おむつです。
どこからどう見ても、おむつです。テレビのコマーシャルで見る、まごう事なき紙おむつです。
手に持ったまま、ごくり、と生唾を飲み込みました。そして、おそるおそる足を通します。
少しきつかったですが、きちんと穿けました。
カバーも着け、ゆっくり、部屋の姿見の前に立ちます。……そこには、大きな赤ちゃんがいました。
裸で、おむつだけを付けた、大きな赤ちゃんが。
そして『キュイィィィン』というあの音が、一際大きく聞こえ……『私』は鏡に向かってハッキリ言いました。『そうだ。アタシは赤ちゃんになりたかったんだ。全てを忘れ、何者にも縛られず、ただ、ただ……還りたかったんだ……そうでしょう?』鏡の中の『アタシ』と『私』は、静かに微笑み合いました。
……ずっと探していた人に会えたような、長い旅の果て、ようやく目的に辿り着いたような、照れたような……そんな微笑みでした。

お互いに、すうっと、手を伸ばします。
そして、両腕を肩に回し、自分自身を慈しんで抱擁するような格好になりました。
……そうしていると自然に、嗚咽が漏れ始めました。

「……ふっ……うぐっ……うぐっうえぇぅぐっ……ふぅっ……お……おおぉぉぉんっ…………」
なぜだかとても悲しくて、でも嬉しくて、涙が溢れてきました。
そう。今まで流したくても流れることを許されなかった涙が、せきを切ったように……

「うっうっうううっ……うああぁぁんっ……うがぁぁぁぁ………………ん……」

涙が流れ尽くした頃、嗚咽はいつしか笑い声となり、そして……赤ん坊の泣き声のようになっていました。

「うふっ……うふふっ……うぶっ……うばぶっ……ばばぶぅーっだぶぅぅーーっ…………」

……狂気です。おむつ姿の高校生が、指をしゃぶり、赤ん坊のような声を上げながら、ベッドの上でのたうち回っているのですから……。傍目には狂気以外の何物でもないでしょう。

「あぶっ! あぶぶっ! っぎゃぁーーーっ!」

それでも私は、このうえない幸福感と、際限のない興奮でどんどん熱くなる躯を感じていました。

「ふぎゃっ! ふぎゃうっ! んまぁぁぁむぁ!」

奇声を上げ続け、興奮が最高潮に達した時……

「あぶうっ!!!!」

びくんっ! と躯がのけぞり、……私は、おむつの中に思いきりおしっこをしていました。

じょぼぼぼぼぼぼぼ…………

「はぁ……はぁ……はぁ……」
例え様のない快感の中、狂気はそれで終わりませんでした。私はおむつを脱ぎ、顔に近づけました。
おしっこと、もう一つの蜜で濡れたおむつ……顔に当て、思いっきり匂いをかいでみました。
甘い、懐かしい匂い……
「んむっ……うふっ……んあぁぁんふっ……ふあぁぁん……くふうううっ……」

オムツを顔に当てたまま、ベッドでもがき回るように、私はオナニーをしていました。

自分のオシッコを顔に擦り付けるようにオムツを当て、ドロドロになったアソコをいじり尽くし、数え切れないほど達し、狂気の宴は終わることなく続きました………………。



「でさぁ、……なのよぉ」
「えーっホントにぃ?」
「やっだーそれってサイテーって感じぃー」クラスメイトが猥談をしています。
私はそういう話には加わらないので、全く疎いと思われている様です。でも、違うのです。
あれから私は、ときどき学校にオムツを穿いてきています。
そして、参考書を読んでいるふりをしながら、少しずつおもらしをしていくことに、たまらない快感を覚えるようになったのです。あの音と声は、体面ばかり気にしていた『私』の、「こうありたいのに」という本音だったのかも知れません。
今、私は何か肩の荷が下りた気がして、とてもすがすがしい気分です。……あなたにも聞こえませんか?
……人生を『巻き戻し』てみたいとき
……あの……音が…………

ほら………………

キュィイイイ……ン
終わり
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