お呪(まじな)い~コレクション・ハウスの夜3_0

0.或る本の一節

 『敬意という物は不思議な物だ。範とすべき者等へは勿論だが、例えば、“今この瞬間、こいつがこの世から消滅してくれれば、どんなに素晴らしいことか!”といった呪詛の言葉が、唱え続けている内に、それが、ある種の非常に逆説的な敬意―こんな奴がこの世の中に存在している。そいつは私の理解できないところにいる。なんと忌々しくも、凄いことだろうか! といった、いささか狭量な感情―に変わっていたことなどだ。その、“負の敬意”とも言うべき物は、非常な苦痛でありながらまた、得も言えぬ快楽にもなる。』