影縫光(かげぬうひかり)~幻影・裏面 0

0. あの門まで

 彼は一体なんだったんだろうか。
 私の方をずっと見ていた。
 濁った光の目でもなく、
 でも射るような物でなく、
 あるいは好奇のそれでなく、
 そう、それは助けを乞うための、懇願のような……目。

 私に何か伝えたかったのだろうか。
 もし、そうだとしたら、放課後の今、彼は待っているかも知れない。
 一度、校門で見渡してみよう。

 でも、
 今日の校門はやけに遠い。
 歩いても、歩いても、近づいてこない。
 それに、どんなに歩いても疲れない。

 まぁいいや。
 どうせ見えているんだもの。
 たどり着けないことはない。
 彼は、そこにいるのだろうか?