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『初級立ちション講座』(4)

4.レッスン4

 そして、次の日。そろそろ夕暮れという頃。
 『教えてやる』なんて見得を切ったが、正直、やり方なんて分からない。そりゃそうだ、立ちションに正しい形なんてあるわけないし、そもそも、女の子がやる必要なんて、ない。街中に転がってる、安っぽいエロ本のグラビアじゃあるまいに。
 しかし、約束を破るわけにはいかない。俺は、あの場所へと向かった。

 電車を降りた頃、辺りは、見事な朱色に染まっていた。目的地へ急いでいるのは事実だが、早足で歩くのがもったいなくなるような、美しい空だった。
 大学時代の通学路と言うこともあって、通い慣れた道だが……なんだかおかしいような気がした。
 そう、不思議だ。人通りが全くない。車も、通らない。……確かに、取り立てて賑やかな場所ではないが、それにしたって、普段、それなりの人の気配はある。
「どうなってんだ……?」
 恐ろしさにも似た気持ちを抱きながら、俺は、歩を進めた。

「先生……」
 彼女は、そこにいた。
 静まり返った夕暮れの中、一人、道に影を伸ばしている。
「おまたせ」
 にっこり微笑んで、俺は答えた。
 出会った目的は奇妙そのものだが、その風景は、ちょっとロマンチックだった。
「じゃあさっそく……」
 そう言って俺を見上げるゆーきの目は、夕日を反射してか、一番キラキラしていた。
「(ぐっ……)」
 その瞳に見据えられると、こっちが恥ずかしくなるぐらいに胸がドキドキする。俺はこっそりと呼吸を整え、ここへ来る前から考えていた質問を、本人に直接尋ねた。
「んっ……ちょっと待った。その……どうやって教えたらいいかな? ゆーきは……あー……どういう風な立ちションをしたいんだ?」
 別に正しいも何も、いつも座ってしている事を、立ってやれば、立派な『立ちション』だ。この娘が思い描く『形』とは、何なんだろう?
「うん! あのね、キレイな弧を描きたいの! 先生の、凄くキレイだった!」
手で、その『キレイな弧』を描きながら、ゆーきはうっとりと言った。
「うーん……」
 俺は考えた。頭の中に、高校の保健体育で習った、男性器と女性器の断面図が浮かぶ。うん、そうだ。男と女では、尿道の長さが違うんだ。長く外に出ている男と違って、女の子は短くて中にあるから、軌道調整……というか、その辺がやりにくい。 そういえば、ガキの頃、『ションベンの飛ばしあい』なんて遊び、やってたよな。男連中は遠くまで飛ばせて喜んでたけど、女の子は、どうやってもうまくいかなかったんだ。女の子達が、すごく悔しがってたのを覚えてる。
 ……でも、今から考えると、あれって凄い遊びだったよなぁ……。

「先生、先生! ボクやってみるから、見てて下さいよ!!」
 考えている俺に、ハキハキとしたゆーきの声が飛び込んできた。
「えぇっ?! ……おいおい、人が来たら……」
 慌てる俺に、
「だいじょぶ、だいじょぶ!」
 言いながら、彼女はジーパンとショーツを脱ぎ捨て、既に『構え』に入っていた。

「うわっ…………」
 その姿を見て、俺はくらっ……ときた。
 よりはっきり分かる、女の子特有の、下半身の線。容姿相応に、かげりのない、だが、ぷっくりとした小さな丘。その中心に、すっ……と通る線……。
 俺にロリコンの趣味はない。断言しよう。が、その時俺は、彼女を可愛いと思った。そう、下半身に血の集まる『可愛さ』を感じたのだ。また俺は、透き通る朱(あか)の中、白い半裸をさらす彼女に、この世ならぬ美しさも感じていた。

「いきますよぉー……」
 明るい声がする。
「あ……あぁ……」
 俺は、なんだか頭に血が上ったように、気の抜けたような声を返してしまった。やがて……
「んっ……」
 微かな声がしたかと思うと、

(じゅじゅじゅ……)

 小さな割れ目からにじみだした泉は、地面に直接落ちることはなく、彼女の内ももから両足を伝ってソックスと靴を濡らし、吸い込みきれない分が、足下に二つの染みを作った。
 やがて、緩やかな風に乗って、ほんのり甘いようなオシッコの匂いが感じられた。

「ほらぁ……こうなっちゃうんですよぉ……」
 少し膨れて、俺を見上げるゆーき。
「………………」
 俺は、めまいにも似た感覚を味わっていた。言い様のない感覚。ただ、心臓がバクバクと音を立てていた。熱い血が、グルグルと体を巡る。
「先生、どうしたらいいです……きゃっ!」

 俺は、彼女を背中から抱きしめていた。
 ……もう少し力を込めれば、どうにかなりそうな体。だが、その体はとても柔らかく、俺の二の腕辺りには、小さいが、一際柔らかな感触。そしてそこからは、確かに『とく……とく……』という鼓動が伝わっている。俺は、更なるめまいを感じながら、手を、細い腰に伸ばした。
「せ……先生?」
 驚くゆーきに、
「分かったよ。ゆーきのココ、硬いんだ。自分で出口を閉じちゃってるから、飛び散っちゃうんだ……」
 こそこそと、まだオシッコに濡れている彼女の小さな丘を撫でながら、ささやく俺がいた。
 ……俺の頭は、痺れたように思考を止めていた。ただあるのは、この娘を『可愛い』と思う気持ちだけだった。
「あっ……?」
 撫でる指先に、少しずつ、力を込めていく。
 片手から、両手へ。
 撫でるように、から、押すように。そして、つまむように。
 時に境目を指でなぞり、時に互いをすり合わせ……俺はその小さな丘を、ゆっくり揉みほぐしていった。
「せっ……せんせ! くっ……くすぐったいですよぉ!」
 本当にくすぐったそうに、俺の腕の中でもがくゆーき。
「まだだ……まだ、ほぐれてない……まだ……」
 だが俺は、その体をしっかりと抱きしめ、うわごとのように呟きながら、完全に行為に没頭していた。

(くにゅ……くにっ……きゅっ……きゅっ……)

「んっ……? ふっ……うっ……あ……ん……」
 やがて、ゆーきの反応が変わってきた。俺が力を入れるのに併せるかのように、くすぐったさと甘さの混じった声を上げ、腰がぴくり……ぴくり……と震える。その仕草一つとっても、可愛い。

(くに、くに、くに……)

「あっ……! んんっ……! はあっ……はっ……!」
 声の甘さは濃度を増し、丘も、随分充血してきたようだ。指先の感覚が、かなり柔らかくなってきた。同時に、オシッコとは違う、湿っぽい熱さが感じられるようにもなってきた。
「あっ……せ……せんせ……ボク……あっ……ヘン……ヘンだよぉ……はあっ……はぁふっ……うんっ……!」
 ゆーきは荒い息をつきながら、両腕を俺の腰に絡めてきた。どうやら、足に力が入らないようだ。

(つぷり……)

「ひゃっ!」
 俺は、右手の人差し指を、開きかけている境目に潜らせた。ぬるりとした温かさが、指に心地良い。そのまま、問題の『出口』を探り当て、ゆっくりとさする。
「あぁあんっ!」
ガクガクとゆーきのヒザが震える。だが俺は手を緩めず、親指で、丘に埋もれかかっている小さな芽を探った。
「きゃあーっ!?」
 触れたとたんに一際かん高い声が上がる。『出口』と一緒にくるくると優しくさすり続けると、境目の中をまさぐる指が、水っぽい音をたて始めた。
「せんせぇぇ……ボク……また……出る……出ちゃうよぉ……」
 そこに、震える声が聞こえた。
「よし……俺が出口を広げてるから、出してみな……。きっと、うまく行くから……」
四本の指で、きつめに丘を分ける。もし、下から見上げれば、『出口』がよく見えるぐらいのはずだ。そして……

(ぷに……っ)

『出口』をもう一度、しっとりと濡れてしまった人差し指でさする。すると……

「あんっ! で……でる……よぉ……ふぁ……あ……あぁぁーーーっ!!」

(しゃぁぁぁ……)

 ちょっと緩い、それでも、見事な弧。確かに、描いた。夕焼けの光を乱反射して、銀色に輝く弧。ゆっくり、だが強くほとばしり、道に飛沫(しぶき)を立てていった。

「やったね」
 俺は無意識に、彼女を強く抱きしめていた。肩越しに顔を覗いた彼女は……
「はあっ……はぁっ……やった……ついに……やったよ……」
泣きながら、ぼう然と呟いていた。

 次の瞬間……
「うっ……うわっ!!」
 ゆーきの体が突然、光輝きだした。そして……俺の手をすり抜け、ふわりと、宙に浮いた。
「ゆ……ゆーき?!」
 光輝く彼女は、俺が見上げるほどの所に浮き、ゆっくりと言った。

「……本当にありがとう。ボク、とっても嬉しいよ。これでボクの役目は終わった……」
「や……役目?」
「そう。……あなたは憶えがないかな? 子供の頃、遊びの一つとして、みんなで一緒に『オシッコの飛ばしあい』をしたのを。男の子はキレイな弧を描いて遠くに飛ばせたけど、女の子にはうまくできなかった。『どうして自分にはできないんだろう? どうして自分には、男の子と同じ物がついてないんだろう? 悔しいなぁ……』ボクはね、そんな女の子達の、とっても小さな昔の想いが、たくさんたくさん集まってできたの。男の子みたいに、キレイな立ちションがしたいなぁ……それが、ボクの願い。みんなの想いを空に返すことが、ボクの役目だったんだ。あなたのおかげで、想いが叶った。役目を果たせた。本当に、ありがとう……。さよなら……」

 そして最後ににっこり微笑んで、ゆーきは、霧のように空へ溶けていった……。

「……………………」

 俺は、ただぼう然と、ゆーきが消えた空を、日が暮れるまで見上げていた……。