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「……どう? 絵実ちゃん……?」
「もーちょい前」 「このぐらい?」 「気持ち後ろ」 「……んっと……?」 「はあい、オッケ」 早朝の女子トイレ。相模 鏡子(さがみ きょうこ)ちゃんは、壁に手をついてお尻を突き出し、設楽 絵実(したら えみ)ちゃんの指示に従っていました。 「も……もうちょっと待ってね……」 「へいへい、わーってるわよー」 しいんとした間が流れます。校舎にはまだ誰もいなくて、二人だけです。 「いつも思うんだけどアンタ、恥ずかしくないのぉ?」 「恥ずかしいよぉ! でも、しっ……しょうがないじゃない!」 しらあっと言う絵実ちゃんに、鏡子ちゃんは真っ赤な顔で恥ずかしがりながら怒ります。 「あっ……あんまり見ないでよ、絵実ちゃん……」 口を尖らせる鏡子ちゃんですが、迫力はてんでありません。だって、彼女の下半身はすっぽんぽんなんですから。 「だーって、見てなきゃ出来ないでしょーがー……」 絵実ちゃんも、そんな声なんて聞き流して、しゃがんだ目線にある鏡子ちゃんのおまんこをじーーーーーっと見つめています。 「あー、そうだ。きょーこ、拡げ忘れてるよー」 「あっ……ごめん、絵実ちゃん」 鏡子ちゃんが、指で自分のおまんこをむにっと拡げます。中身はとってもきれいなピンク色で、膣の穴から尿道口まで、しっかり絵実ちゃんにさらけ出します。 「……アンタ、いつまで経ってもマンコの毛少ないねぇ……」 「……子供っぽいって言いたいわけ?」 「そ」 「ーーーーー……」 まるで『救いようがない』とばかりに冷たぁく言う絵実ちゃんに、鏡子ちゃんは頬を膨らませて、『お父さんの使っている育毛剤って、陰毛に効くのかしら?』なんて事を考えていました。 そんな鏡子ちゃんの気持ちなど知らずに、絵実ちゃんのだるーーーい声がします。 「あー……ったく……なーーんでアタシがアンタの検尿につきあわなきゃいけないのよ……。毎年毎年毎年毎年毎年毎年毎年毎年さあー……。なーーにが悲しゅうて、早朝のトイレで女二人、こんなことせにゃならんのかねえ……」 「そっ……そんなに何回も頼んでないでしょ!? 留年なんてしてないんだから!!」 「ばかあ。頭固いよアンタぁ……。言葉のアヤっちゅうのを分かりなさいよぉ……ったくう……。ところで、まだでないのぉ?」 「もっ……もうちょい……」 いらだたしげな絵実ちゃんに、鏡子ちゃんは申し訳ない気持ちで下腹に力を込めました。 「…………」 ふと、鏡子ちゃんが後ろを振り向きます。絵実ちゃんも、「どったの?」とだるそうに言って、視線を追います。 「えっ? ううん……やっぱりこのかっこ、なんか変だなって思って……」 そこには、大きな鏡がありました。ちょうど、二人の姿がすっぽり入っています。白いお尻を突き出して、おまんこをむき出しにしている鏡子ちゃんと、採尿用の紙コップを持ってしゃがんで待つ絵実ちゃん。はた目には、ものすごくシュールな光景でした。 「ほらほら、見とれない見とれない。さっさと済ます!」 「みっ……見とれてなんか無いわよ! 絵実ちゃんったら……」 「あーもう! 言い訳は後で聞くから! 早くやる!」 「ひゃっ!?」 おまんこの中に思いっきり息を吹きかける絵実ちゃんに、鏡子ちゃんは跳ねあがらん程に驚きました。 やがて…… 「んっ……え……絵実ちゃん……出る……」 「あーいよ……」 鏡子ちゃんの尿道口から、おしっこが今まさに出ようとしていました……。 さて、どうして鏡子ちゃんは、わざわざ立っておしっこをしなければいけないのでしょう? それは、彼女のいやぁぁぁぁな体験によります……。 今日とは別の尿検査の日でした。鏡子ちゃんは普通に採尿カップをもらい、普通に個室に入って、ふつうううううにおしっこを取ろうとしました。 ですが、「よいしょ」と和式便器にしゃがんだその時…… ねろんっ 「ひっ!?」 お尻を、何かぬめっとした物がなめ上げました。 気のせいかと思って、もう一回しゃがみました。 べろろ〜んっ 「きっ……!!」 やっぱり、何かにお尻をなめられました。 しかも、お尻の穴からおまんこからクリトリスまで全部なめられてしまいました。 「何……!?」 鏡子ちゃんは、すごく悔しいと思いました。いったい誰……いや、便器の中からという時点で、『誰』という表現は当てはまらないのだとは思いますが……とにかく、中をのぞき込みました。 「いやあぁあぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!」 絶叫、絶叫、また絶叫。金切り声も裸足で逃げ出し、絹を裂く音もかすむほど、鏡子ちゃんは叫びました。 「おっ! おっ! おっ! おおっ!!」 後の二文字が出てきません。 だってそこにいたのは……強引にたとえるなら…… 『浮浪者のドザエモン・ただし首のみ』 あるいは 『袋叩きにしたクマ人間の頭部・毛剃り済み』 またあるいは 『現代風落ち武者さらし首・アバンギャルド添え』 ……なんだか分からなくなってきましたが、つまりはそういう首だけオバケだったのです。それが、『にまぁ〜っ!』と笑っているのです。 「あぁあっ……」 鏡子ちゃんは、そのまま泡を吹いて気を失ってしまいました。 次の日になって、鏡子ちゃんはみんなに必死で説明しました。でも、お約束と言いましょうか、だーーーれも信じてはくれません。おおかた、ゴキブリでも見たんだろう……という、全然違う方向で話はまとまってしまいました。しかも、『おおボラふきの鏡子』なんていう、まったく不名誉なあだ名までもらってしまいました。 かくのごとき次第で、以来、鏡子ちゃんは便器にしゃがめなくなってしまったのです。あれから何度かしゃがんではみたのですが、やっぱり、あの生首オバケが便器から出てきて、思いっきりお尻をねぶるのです。それで結局気を失い、またクラスの笑い物になり……鏡子ちゃんのクラスでの居場所は、すごーーーく、ものすごーーーく、狭くなっていきました。 しかし、日々の尿意は容赦なくやってきます。 でも、しゃがんでおしっこはできません。 結果的に、立ってやる必然性が出てきます。 女の子の立ちション。 普通、無理です。身体の仕組みが違うのですから、訓練でもしなきゃ、とてもできません。 鏡子ちゃん、訓練をしました。一人じゃできませんから、親友の絵実ちゃんに頼んで。お互いの家の風呂場で。 姿勢の研究から始まって、力の込め方、時間調節の仕方、我慢の方法……それはそれは奇妙かつすさまじい特訓でした。たかが検尿のためにこの努力。真面目です。根性です。作者も見習いたい物です。 そしてその努力の甲斐あって、鏡子ちゃんは、こぼさず、散らさず、見事に立ちションをするすべを身につけたのです。拍手。 ……で、場面は最初に戻ります。 ぴしゅっ……ぢょろろろぼぼぼ…… 「あ……ふあぁぁぁ……!」 研究しつくされた角度で、鏡子ちゃんのおまんこ……の上の尿道口……からおしっこが出ます。そして、きっちり正しく、絵実ちゃんの持つコップに入っていきます。見事な呼吸でした。 「おーおー……相変わらず出る出る……」 どんどん一杯になっていくコップをにやにや見つめながら、絵実ちゃんがヒヒヒと意地悪く笑います。 「せっ……生理現象なんだから、しょうがないじゃない……! それより、ちゃんととれてるの?」 返す鏡子ちゃん、いつものことですがプリプリ怒ります。 「だーいじょうぶよぉん……」 でも結局、絵実ちゃんには見事に流されてしまうのです。このへんも、見事な呼吸でした。 ちょろ……ちろろ…… おしっこは、ようやくその勢いを弱めました。 変わらない調子で、絵実ちゃんが言います。 「……ねえ、きょーこぉ……アンタ、マンコから別の汁垂れてなぁい?」 「なっ……!? そんな訳……! うあ……あ……んっ……!」 ニヤニヤと笑いながら、絵実ちゃんは鏡子ちゃんのおまんこのヒダを、ネチネチとなぞっていきます。そこはとっても熱くほてっていて、いっぱいのぬるぬるで濡れていました。 「んー……どっから興奮してたのかなぁ〜? オシッコしてるときからかな〜? 脱いだときからかな〜? それとも、検尿の日になったときからかな〜……」 「あぁんっ!!」 「おほぉぉ〜絡む絡む……」 つるりと膣に指を入れ、思いっきり音がするように指でかき回します。鏡子ちゃんはもう気持ちよくて気持ちよくて、カクカクとお尻を揺さぶります。 「やっ……めて……えみちゃ……あっ! あああっ!!」 「んー……やめたく無いなあ……アンタの中、熱くってきもちいーんだもんなあ……ホレホレ……」 絵実ちゃん、鏡子ちゃんの訴えなんて、まるで聞いちゃくれません。 「うあっ……! やっ……あああぁっ……!!」 鏡子ちゃんは、甘ったるい声でもだえながら、どうして今日に限って絵実ちゃんがこんな事をするのか、不思議でたまりませんでした。確かに、立ちションの特訓をしている最中に、おしっこをガマンしたり一気に出す練習で、えっちな気分になってしまうようになったのは事実です。おしっこしながら、おまんこから別の汁をあふれさせたことだって、今日だけじゃありません。でも、絵実ちゃんは何も言いませんでした。だから、気づかれてはいるだろうけど、あえて言わないでおこう、と思っていたのです。 「はふ……あ……はあぁ……えみ……ちゃぁん……」 「やめて」と言おうか、「もっと」と言おうか決めかねて、鏡子ちゃんはお尻をくねくねさせるばかりです。そんな彼女を見て、絵実ちゃんは…… 「あーー……もーーうガマンできない……!」 じゅるっ!! 「はうんっ!!」 おもいっきり、鏡子ちゃんのおまんこにむしゃぶりつきました。そのまま舌をべろべろ動かして、おまんこの汁もおしっこも、ずるずるとすすっていきます。 「ひあっ……あ! あぁぁっ!! えっ……えみちゃ……あんっ! きっ……汚いよぉぉぉっ!!」 悲鳴のような声を上げる鏡子ちゃんに、絵実ちゃんは言いました。 「……アンタのオシッコが、汚いわけないでしょーが……」 「えっ……?」 「あぁん? だーら言ってるでしょぉ? でろでろのマンコも、マン汁も、オシッコも、アンタのだったら汚くない……つってんのよぉ……」 真剣な想いをいつものダルダル口調に隠して、絵実ちゃんは、さらに鏡子ちゃんをねぶります。 「あ……あ……あはあぁぁぁっ!!」 鏡子ちゃんは、もう飛び上がるほど嬉しくて、そう思うともっともっと気持ちよくて、おまんこから新しい汁がどんどん出てきて、頭の中がわやくちゃになっていくのでした。 「あ……あ……あぁぁ……!」 身体が、おまんこからとろけていきそうです。 頭の中も、どんどん真っ白になっていきます。 なんだか、絵実ちゃんとの特訓風景やらその他諸々なんやらかんやらが、ぐるぐると頭を駆けめぐります。 ひょっとして、これが走馬燈というやつでしょうか、じゃあ、私はこれから死ぬのかしら? でも、絵実ちゃんにおまんこを舐められながら死ぬんだったらいいな……そんな風に思っていました。 「あんっ! んっ! んううっ!! えみ……ちゃぁぁん……」 「おいしい……おいしいよ、きょーこのマンコぉぉぉ……ああ……なんか白い汁も出てきたよぉぉ……」 ビリビリとした快感の中、いろんな光景が浮かびます。 そう……あれは、絵実ちゃんの家で特訓後、部屋でお茶を飲んでおしゃべりをしていたときでした。 一緒にマンガを読んでいて……本棚に目がいきました。 そこには、不釣り合いな見かけの本がありました。 気になった鏡子ちゃんは、絵実ちゃんがトイレに行っている間に、こっそり読んでみました。しおりが挟んであるところには…… 「んはあぁあんっ! ウンッ!! ンッ!! んふうぅっ!! いいっ!! 気持ちいいっ!! ああっ! 絵実ちゃあん!! おまんこ気持ちいいぃっ!!」 「ああ……きょーこ……きょーこぉぉ……! すごい、すごいよアンタぁぁ……濡れちゃう……アタシもマンコ濡れちゃうじゃないのぉぉ……ああんっ……!」 自分もぐちゃぐちゃとおまんこをいじりながら、鏡子ちゃんのものをねぶり倒す絵実ちゃん。 まるで、あの生首オバケみたいです。 ……そうです、しおりが挟んであったページは……あの、トイレの生首オバケの絵が描いてありました。そこに、召還がどうしたとか書いてあったのです。 「あうっ!! んっ!! んんんっ!! おまんこイイッ! 絵実ちゃんっ!! もっと!! 私のおまんこベロベロしてぇぇぇっ!!」 「んぐっ! んっ……ううんっ……! わーってるわよぉぉぉ……アンタのマンコはアタシのモンなんだから……アタシだけの……アタシだけのぉぉ……!」 トイレのオバケを呼び出して鏡子ちゃんにトラウマを植え付けたのは、他ならぬ絵実ちゃんだったのです。 そしてそういえば、オバケが出るようになった日は、鏡子ちゃんがクラスの男の子からラブレターを受け取った次の日でした。 でも、鏡子ちゃんは絵実ちゃんを許しました。実は、そうじゃないかなと疑っていたのです。けれど、鏡子ちゃんは思います。たとえクラスの全員から嫌われても、絵実ちゃんがいればいいと。もちろん、もらったラブレターなんて、封も開けずに捨てました。 「かわいい……かわいいぃぃ……あたしのきょーこ……きょーこのマンコォォォ……おいしい……ああ……アタシぃ……うれしいぃぃ……! いーい……? アンタはぁ……アタシのモンなんだからねぇ……!」 「あんっ! あんっ!! んっ!! んうううっ!! そうっ!! そうだよっ!! 私っ!! ああっ!! 絵実ちゃんのっ!! 絵実ちゃんのぉぉっ!!」 絵実ちゃんも、実は気に病んでいました。嫉妬からとはいえ、鏡子ちゃんにものすごく嫌な思いをさせてしまったのですから。 だから絵実ちゃんは、かけをしました。 わざとまじないの本を鏡子ちゃんの目に付くところに置き、彼女を試したのです。それで鏡子ちゃんが怒れば、絵実ちゃんは彼女をあきらめるつもりだったのです。 でも、鏡子ちゃんはいつもどおりでした。 ある日、彼女はこんな事も言いました。 「私、もしあのオバケを呼んだ人が分かっても、きっと許すよ。だって、絵実ちゃんと立ちションの特訓ができるようになったから。うふふっ……」 絵実ちゃんは、嬉しくて嬉しくて、どうしようもありませんでした。あんまり嬉しくて、鏡子ちゃんを想ってするオナニーの回数が増えてしまいました。 「きょーこぉぉ……アタシだけのきょーこぉぉ……! 可愛い……かわいいぃぃ……きょーこ可愛いぃぃぃ……!」 「あっ!! 絵実ちゃんっ!! 私っ!! イクッ!! イッちゃう!! ああっ!! おまんこっ!! おまんこイッちゃうぅぅっ!!」 「イッてぇ……きょーこぉ……! たくさんイッてぇぇ……!」 ……疑いあい、でも、それを全部許しあい、信じあって、笑いあって、いつも一緒にすごす……。 それはつまり、とてもすてきな関係であって、簡単に二文字で言うと…… 「あんっ!! イクッ!! 絵実ちゃんっ!! イッちゃうっ!!」 「アタシも……イク……きょーこ……いっしょに……いっしょにぃぃ……!!」 「絵実ちゃんっ!! 絵実ちゃぁぁぁんっ!!」 「きょーこ!! きょーこぉぉーーーっ!!」 『す……す……す……!!』 最後の一文字を言う前に、二人の意識は、プツン……と途切れてしまいました。 ◆
その店は、薄汚れた裏路地にありました。 入り口上のすすけた板に、『看板屋・ダウェンポート』と読めます。でも、看板屋という割には、薄暗い店内にはそれらしき物がありません。が、壁を見ると、『当店は、オーダーメイド専門です』と書かれていました。 「ごめん、店主はいるか?」 そこへ、一人の紳士風の男が入ってきました。 「へいへい……やあ、これはダンナ……」 声に応じて出てきたのは、黒ずくめのぼろけた服をまとった、小太りの男でした。 「どうかな?」 「エッヘッヘ……すっかり出来ておりますぜぇ……」 どこまでもいやらしい笑みに、客の男は、店を出ようかと思いました。 しかし、注文した品を受け取らないといけません。この男に支払ったお金は、前金だけでかなりの額なのですから。 「ぃよぉーいしょっ……と……こんなんでどうですかねえ? へっへっへ……」 「……むうっ……!」 やがて運ばれてきた看板を見て、男はうなるしかありませんでした。それほど、見事なできばえだったのです。 「ひっひっひ……題名は、『相模 鏡子と設楽 絵実の秘密の採尿』ってとこですかねぇ……ぐふふふふ……」 会心の笑みを浮かべる店主。男は、そのネーミングセンスのなさに、苦虫をかみつぶさざるをえませんでした。 「……しかし、本当にみずみずしい絵だな。生きてるみたいだ……」 「生きてますぜ。へっへっへ……」 「なにっ!?」 「この二人は、鏡の中で生きてると言ったんですよ。ヒヒヒヒヒ……」 「ちょっと待て!! 同系星民の商用捕獲および封印は極刑だぞ!? そんな非合法品なら前金を……!!」 「ウシシシシッ!! ダンナ、人の話は最後まで聞きましょうぜ? コイツをご覧くだせえ……」 店主は、一枚の紙を取り出しました。 それは、『この容姿をした、相模鏡子および設楽絵実という人間は、同系の星民には存在しない』という旨が書かれた、惑星連邦の公式証明書でした。 「なんなら、ダンナご自身が連邦のデータベースで検索して下さっても良いんですぜ? もっとも、この証明書に疑念を挟んだ方こそ、反逆罪で極刑ですが……ヒッヒッヒ……」 「なら……一体どうやって……」 男はただ、狐につままれたような顔でいるのがやっとでした。店主が得意げに言います。 「ダンナ、『地球』ってぇ星をご存じですかい?」 「いや……聞いたことがないな……」 「へっへっへ……やっぱりそうですかい……」 自分だけが知っていることを自慢するこの店主の態度に、男は激しく気分を害しました。プライベートでは絶対につきあいたくないタイプです。でも、初めて聞く『地球』という名の星については少なからず興味がありましたので、続けて話を聞くことにしました。 「アッシらの星から、銀河系の中央を挟んでほぼ対称の位置にある星でさあ……。おもしろいことに、星民の容姿から環境その他まで、アッシらとうり二つ。見かけ上の文化レベルもね」 「そんな星があったのか……かなりの辺境だな。しかし、『見かけ上』とは?」 「魔法のたぐいがねえんでさぁ。理論さえもね」 「なんと……」 男は絶句しました。店主のその一言で、機会があったら調べて行ってみようか……という欲はいっぺんに消えました。 「んで、その『地球』上から、ダンナのご要望にかなう女二人を探しだし……後はいろいろ伏線を張って……たとえば、アッシらの魔法の本を一冊紛れさせてやるとかね……。で、封印鏡をセットした場所で、感情がピークになるのを待つ……って寸法でさあ。ヒヒヒヒヒ……」 冷たい笑みを浮かべる店主。「ですから、高い高いと言われるウチの値札も、その辺の経費を考えればしごく妥当なんですがねえ……」と、訊きもしないことをぺらぺらとしゃべります。男は、さらに気分を害しながら言いました。 「しかし、封印した後、周りの者に対する処置はどうするのだ? いや、そもそも封印鏡を……察するところ、学校のようだが……そこに設置するのもだ。文化レベルが違いすぎるのなら、大混乱に……」 「そのへんの記憶操作法などは、企業秘密って事で……ウシシシシ……」 「なるほど……」 男は、長いため息を付きました。 どうやら、安全な買い物だったようです。彼はその場で残りの代金を払い、ようようと帰っていきました。そしてその看板は、男の経営する店……放尿プレイを売りにする風俗店の看板として、絶大な反響を呼びました。男が、それにかけた金を回収するのに、さほどの時間は掛かりませんでした。 今日も、鏡子ちゃんと絵実ちゃんの一日は終わりません。 今や看板となった鏡の中、一番幸福な瞬間を、いつまでもいつまでも繰り返すのです。 『す……す……す……!!』 次に続く、カ行二段目の一文字が、いつまでも、言えないままに。 ―おしまい
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