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『上級立ちション講座』(6)

6.二人で後始末

「おーい、ゆーきぃ……」
「あー……」
「ゆーきくーん……?」
「ふあぁ……ん……」
「こら」
「ふぁっ?!」
 ほっぺたをペチペチと叩いて、ゆーきはようやく我に返ったようだ。
「帰り支度、しないとな」
「あっ……そ……そっか……。ごっ……ごめんなさい……。あんっ……!」
 そろそろと俺の腰から離れるゆーき。じゅるり……と、ようやく俺の肉棒が解放される。
「ふああ……」
 ゆーきは、俺から離れた後も、しばらくぼんやりと突っ立っていた。だがやがて、思い出したように目が正気を取り戻し始めた。素早く、自分の格好を見て……
「どっ……どおしよぉ……! 潤一さぁん! ボク達、びしょびしょだよぉ……! 帰るのに、電車に乗らなきゃいけないのにぃ……!」
 確かに。上半身はまあ大丈夫にしても、下半身は、見事にオシッコでずぶぬれだ。
「かっ……乾かないよね、すぐには……。それに、乾いたとしても、臭いとかが……あうぅ……」
 ベソ顔で、途方に暮れるゆーき。
「さてと……」
 だが俺は、全く慌てることなく、自分の荷物をほどいた。そして、中から円筒状の物を取り出して、ゆーきに向かって投げる。
「そら、パス!」
「えっ……? きゃっ! うん? ウェットティッシュ?」
「ああ。とりあえず、汚れた服を脱いで、それで体を拭け」
「やっぱり……ここで乾かすしかないのかなぁ……えーん……」
 言いながら、ゆーきは、モソモソと体を拭いていく。
「……終わったよ……」
 困り顔で、汚れの始末が終わったことを告げるゆーき。よく見ると、手でアソコを隠している。……昔じゃ、考えられなかった仕草だよな。
「よし。んじゃ、パスその2!」
「わっ……!」
 俺は、自分の荷物の中からとりだしたもう一つの物を、ゆーきに投げてよこした。
「これ……ボクのジーパン……? どうして……?」
「ポケットの中には、ショーツも入ってるぞ。念のために、持ってきてたんだ」
 俺も、自分の体を拭きながら、荷物の中から自分のズボンとトランクスを出し、着替える。
「どうりで、潤一さんの荷物、大きいと思った……」
「ま、な。『備えあれば、憂いなし』ってやつだ」
「ふうん……さすが潤一さん!」
「はははっ……」
 やがてゆーきの着替えも終わり、俺達は、薄暗くなってきた山道を下っていった。足下を、懐中電灯で照らしながら。

「……ところでさぁ……」
 ハイキングコースの入り口直前まで戻ってきたとき、ふと、思い出したようにゆーきが言った。
「うん? なんか、忘れ物でもしたのか?」
「……違うよぉ……。思ってたんだけど、潤一さん、すっごく準備良かったよね……それって、ひょっとして……」
「な……何の事かな? ゆーき君……」
「だから、えっちした後……着替えとか……」
「そっ……そりゃあ、な。色々と……」
「じゅーんーいーちーさーーーん……」
 ジト目のゆーきの視線が痛い。ここは……
「まさか、最初っから……って……あんっ!」
 俺は、ゆーきを思いきり抱き寄せて、耳元で囁いた。
「……お前も、ちょっとは予想してたんじゃないのか? 嫌だったんなら、家に帰ってから、改めてやり直そうぜ? それとも、どっかホテルでも行くか? ん?」
「なっ……ななな……何言って……」
 首から始まって、まるでグラスにワインを注ぐように、ゆーきの顔が赤くなっていく。
「ぼっ……ボク、そんなこと言ってるんじゃないよぉ……そうじゃなくって、あの……そのぉ……えーと、えーーっと……きゃあっ?!」
「さあ、急がないと、最終のケーブルカーが出ちまうぞ! 走れ、ゆーき!」
 俺は、強引にゆーきの手を引き、駅へと向かって走り出した。

−おわり−