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欲求不満と洒落たバー

 ここ最近、休みであるにもかかわらず、存分に酒の呑めない日が続いております。せいぜいビールを500ml一本か、水割り一杯ってところでしょうか…。 と、申しますのも、九月に目を手術をして以来(詳細は、『入院日記』をご参照あれ)、その傷が完治してないからなんです。ご存じの通り、酒は血の巡りを良くします。で、つまりは今呑むとどうなるか? 朝、鏡を見ると…

『あ…ウサギの目…』

と言うぐらいに、目が充血するんですな、これが(T^T)。当然傷口に良かろうはずもありません。と、いうわけで、今日も抗生物質とステロイドの目薬を点眼しながら、ガマンの日々を過ごしているわけです(泣)。

 しかし、そんな日々でも、たまには特例の日を設けたくなるのが人の常(笑)。先日、大学時代の後輩と共に、とても良いバーに行きました。

 後輩のK君と会うのは、随分久しぶりの事でした。彼と出会ったのはキャンパス内ではなく、かつて私が活動していた、地元の草の根ネットと言うところがミソ。やけに地域限定の話題が通じるなぁと思ったら後輩だったという(笑)。

 まぁそれはさておき、彼のお薦めという、神戸は三宮にあるバー「A」へ行くことにしました。。

 私はカクテルは好きですが、自称『パジャマ姿のバーテンダー』と言っている通り、基本的に家で作って呑みます。よって、学生相手の気軽なところを除いては、いわゆる本格的なバーへは行ったことがない。いつも野暮ったい格好をしている男が一人ではなかなか入れないのもそうですし、連れ立って行くような異性もいないぜコンチキショー(泣)!
 …まぁそれはさておき、K君に連れられ歩き、駅から歩いて程なく、目指す「A」へ。

「わお…」
 入った私の第一声がこれ。渋い! まさに典型的なバー。木の飴色に満たされた店内は、スタンド式のカウンター席がメイン。カウンターの内側はと見て取れば、モザイク模様のようにびっしりと並ぶ、洋酒の数々。それに、ジューサー、シェーカーなどが所狭しと並んでいます。
「ここは、ジュースも生を絞るんですよ」と、K君の説明。なるほど、出来合いのコンク(濃縮)物じゃないわけね…と、頭の中に、毒々しい色の業務用オレンジジュースを思い浮かべながら、入り口付近に一対だけある椅子席に腰掛け、メニューを見ました。

 定番から珍しい物まで、ずらりと並ぶあらゆる種類のカクテル。しかも、『メニューにない物でもお作りします』の言葉。凄まじい。そう言えば、『そんなに酒が好きなら、バーテンにでもなったら?』なんて言われた時期もありましたが、この怒濤の如きメニューを見て、さらに客のセンスを見極め、かつ、客の相談に乗る…と言うか、酔った勢いの悩みを受け止める…など、どうにもできそうにないな、と思い当たり、改めてバーテンという職業を尊敬してしまう私でありました。

 ともあれ、さて、ひとまずはビールか…と、思いきや、K君はビールが飲めないと言うことで、頼んだのはミルクベースのカクテル。何か全く聞き慣れない名前の物で、しばし首をひねった(※註)んですが、一口味見をさせて貰って思い当たりました。何だったか、木の実から作ったミルクのリキュールを牛乳で割った物で…あぁしまった。リキュールの名前が出てこない…と、おのれの不勉強を恥じたのですが、ともあれ乾杯。

 それからは、近況の話から、教育、社会問題まで、それはそれは硬派な話を肴に呑みました。このK君、法曹関係を目指し、今度司法試験も受けるというだけに、話す内容は血が滲むほど熱いのです。彼と話すと、個人的に目からウロコがポロポロ落ちて、久しく絶えた私の知的好奇心をゴリゴリえぐってくれます。若干、考え方が偏ってるのは、自他共に認めるところですが(笑)。その中でK君曰く、

「野郎と来たの、初めてですわ」

「…すいまっせぇん…(泣)」

 さて、そんなこんなで杯は進み、お互い三杯目。それにしてもK君、カクテルの話に異様に詳しい。誰がライチのリキュールを使った物まで知っているか。K君は色々あって高級酒をよく飲める境遇にあるという。素直に羨ましい。『おすそ分け、くれない?』という私の提案は、即座に却下されましたが(笑)。

 また、BGM代わりに聞くバーテンのシェーカーの音、これがまた耳に心地よい! 『手首のスナップが利いてるねぇ』なんてものではなく、楽器を演奏するような目にも止まらぬシェーカーさばき! まだ若そうな風体でしたが、かなりのものと見てとれました。「極めると、美しいのう…」と、オッサンのようにかみしめる若年寄が一名おりました。

 私は、シメにアイリッシュウイスキー『ボウモア』のシングルをロックでいただき、おしまい。お互い三杯ずつで、普通こういうところなら、カクテル一杯1,000円前後+テーブルチャージやらを加えて、6,000円ぐらいは行きそうなんですが…「A」では、なんと! 全品500円! ただし、五時から八時までという、本格的にそういうところに繰り出すにはちと早い時間ですが、それでも破格。で、つまりは、二人で税込み3,000円! 「…ええの?」とK君に思わず訊いてしまいました(笑)。

 その後、晩飯に、これまたK君オススメの定食屋で『狂ったようにでかい』チキンカツ定食を喰い、その日はおひらき。

 あぁ、今度は私も、女性連れで行きたいもんだ…と、街頭に繰り出し始めた風俗店の客引きをかわしながら、しみじみと道路を踏みしめて帰る、初秋の日でありました。

(※註):後日、そのリキュールの件をK君に聞き直したところ、『それは「ベイリーズ」(Bailey's)というやつです。とても美味しいですが、カロリー高そうですね』…とのことでした。そう言えば、自分も親戚から貰ったことがあったんでした(^-^;。コーヒーや紅茶に入れても、結構おつな味でした。



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